ウイスキーの起源とされるアイリッシュ・ウイスキー、スペルは「WHISKEY」で、スコッチの「WHISKY」とは異なる

2014年06月29日 20:37

Jameson

アイリッシュ・ウイスキーの一大ブランド「JAMESON(ジェムソン)」からプレミアムなボトルが発売される。「JAMESON GOLD RESERVE」。700ml、アルコール度数40%、希望小売価格9000円。

 ウイスキーがいつ、どこでどのようにつくられたのか、その起源は明確に分かっていない。歴史上、ウイスキーが初めて文献に登場したのは1171年。イギリス国王ヘンリー2世がアイルランドに侵攻した際の記録に、住民が「ウスケボー」という蒸溜酒を飲んでいたとされている。それが「ウイスキー」の語源となったという説が有力だ。が、この頃、すでに修道士たちによって蒸溜酒が製造されており、実際にはそれ以前から製造されていたと考えられる。

 蒸溜アルコールは錬金術師によって蒸溜技術が開発され、8~9世紀頃から製造されていた。場所はエジプト、中東など諸説ある。その後、その蒸溜技術が、キリスト教の修道士らによってアイルランドに伝わったとされている。

 また、12世紀ごろに、スペインの錬金術師アルノーという人物が、ワインを蒸溜し、このときに生まれた酒を「アクアヴィテ(ラテン語で“生命の水”の意)と呼んだ。この「アクアヴィテ」がゲール語の「ウシュク・ベーハー(生命の水)」に訳され、ウイスキーの語源となったという説もある。

 ちなみに、ゲール族とはヨーロッパ中西部に起った古代民族ケルト族のうち、海を渡ってアイルランドからスコットランドへ移住した部族。この末裔が現在のスコットランド人やアイルランド人。ウイスキー発祥の地としてはアイルランド説が有力で、ゲール族の移住とともに蒸溜技術が伝播し、各地に広まったのではないかと言われている。

 アイルランドでつくられるウイスキーがアイリッシュ・ウイスキーで、20世紀初頭には世界のウイスキーマーケットの60%以上を占めていた。しかし、1919年、アイリッシュ・ウイスキーの最大輸出先だったアメリカで禁酒法が施行された影響で生産規模が半減した。さらに、アイルランド内戦の影響で多くの小規模蒸溜所が閉鎖。戦後、独立を獲得したアイルランド自由国は、独立の報復としてイングランドとその植民地市場から排斥される。アイルランドのウイスキー製造者が淘汰された。

 現在、アイリッシュ・ウイスキーの蒸溜所はおおむね4カ所に収斂されている。ミドルトン蒸溜所、ブッシュミルズ蒸溜所、クーリー蒸溜所、キルベガン蒸溜所である。

 そのアイリッシュ・ウイスキーの一大ブランドでミドルトン蒸溜所が製造する「JAMESON(ジェムソン)」からプレミアムなボトルが発売される。新製品である「JAMESON GOLD RESERVE」だ。

 「JAMESON GOLD RESERVE」は、マスターブレンダーのビリー・レイトン氏による巧みなブレンド技術が完成させた、複雑でスムーズな味わいが特徴。アイリッシュ特有の風味豊かなポットスチルウイスキーと、グレーンウイスキーを使用し、アメリカンオークの新樽、バーボン樽、シェリー樽の3種類の樽で熟成した原酒をブレンドしている。そのため複雑なフレーバーを堪能でき、しかも贅沢な味わいに仕上がっているという。なお、ポットスチルウイスキーは単式蒸溜器で3回蒸溜するアイリッシュ特有の製法でつくるウイスキーである。

 テイスティング・コメントでは、「アメリカンオーク新樽由来のスパイシーさがほのかに感じられ、バニラの甘さ、シェリーのフルーティーさ、ナッツの香ばしさなどが重なり合う」としている。

 なお、アイリッシュ・ウイスキーのスペルは「WHISKEY」で、スコッチの「WHISKY」とは異なっている。ちなみに、米国産バーボン・ウイスキーのスペルは、ほとんどが「WHISKEY」を使っている。これはケンタッキー州の住民はアイルランドからの移民が多かったから。そして同じようにイギリスから独立した米国で蒸溜所を開設したからだ、とされている。(編集担当:吉田恒)