ニッカウヰスキーの新しいブレンデッド「THE NIKKA」。特性化粧箱にクリスタルグラスをセットした「40年」は700本の数量限定品。今後、「THE NIKKA」ブランドのバリエーションが増える可能性もある
ニッカウヰスキーは今年、2014年に創業80周年、創業者である竹鶴政孝の生誕120周年を迎えた。この節目となる本年、“日本のウイスキーの父”と呼ばれる創業者・竹鶴政孝が目指した理想のウイスキーづくりを継承したプレミアム・ブレンデッドウイスキーの新ブランドを発売する。
今回、新商品の発表にあたってアサヒビールの平野伸一専務取締役が発表したニッカウヰスキー最近の業績について触れる。
「アサヒビールとニッカウヰスキーが経営統合したのは2001年。そのなかで一昨年あたりから同グループで販売する国産ウイスキーは堅調というよりも好調裏に売上を伸ばす。直近の数字を示すと2014年1-8月期のニッカウヰスキーは数量ベースで前年比107.0%。主力ブランド別でみると、普及価格帯のブラックニッカ・ブランドが106.0%であるのに対し、高価格帯にある竹鶴ブランドが139.0%と高水準の伸びを示す。消費増税後の落ち込みもなく、この9月単月の予想は、竹鶴ブランド160%、ニッカウヰスキー全体でも115.0%の高い水準にある。こうした状況を受けて、アサヒビールは中間決算発表時に2014年の売上目標を上方修正した」
「ニッカウヰスキーは国内だけではなく、2006年から欧州、2012年には米国、2013年からは豪州への輸出も開始している。輸出量は2013年に7.6万ケースだったが、2014年には10万ケースを超えると見込んでいる」
こうした好調な国産ウイスキー販売を背景に今回ニッカが発表した商品は、ブラックニッカ、竹鶴に次ぐ第三のブレンデッド、それも高価格帯に位置するウイスキーの新ブランド「THE NIKKA」だ。9月30日から全国で発売する。通年継続販売する「THE NIKKA 12年」と、700本数量限定販売の「THE NIKKA 40年」の2アイテムで、全国酒販店で販売するほか、アサヒグループのオンラインショップ「アサヒショップ」においても販売する。
創業者の竹鶴政孝は、大正時代に単身スコットランドに渡り、スコッチウイスキーの本場でウイスキーづくりを習得し、妻のリタ夫人を連れて帰国後、1934年に北海道・余市に蒸溜所を建設しモルトウイスキーの製造を開始。さらに、当時からスコットランドで主流であった、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混和するブレンデッドウイスキーの製造を目指し、1963年にカフェスチル(連続蒸溜機)を導入した。ブレンデッドウイスキーは、モルトの個性とグレーンの飲みやすさが調和したバランスがとれたウイスキーだ。良質なブレンデッドウイスキーの製造、それは竹鶴政孝にとって理想のウイスキーづくりの集大成とも言えるわけだ。
新発売の「THE NIKKA」は、企業名をブランド名に冠したプレミアム・ブレンデッドウイスキー。普通ブレンデッドウイスキーは、一般的にモルトよりグレーンの使用比率が高い。が、今回の「THE NIKKA」はモルトの比率をグレーンの比率を上回る。故に、しっかりとしたモルトのコクとグレーン本来の甘くまろやかな味わいでバランスしている。また、数カ月の再貯蔵(後熟/マリッジ)を行なうことで、調和のとれた旨さを実現した。
「THE NIKKA 40年」は、ニッカウヰスキーに現存する最古の原酒である、1945年の余市モルトと、1969年の宮城峡モルトといういずれも40年を越える長期熟成原酒を内包するニッカ史上最高傑作といえるプレミアム・ブレンデッドウイスキーだ。長期熟成原酒由来の味わいは深く、樽由来のビターが個性的だ。
一方の「THE NIKKA 12年」は、12年以上貯蔵した原酒を厳選してブレンドした。モルトとグレーンを絶妙なバランスで仕上げた香りと味わいは、爽やかでクリーン、そして飲みやすさも備える。
重なり合う和服の衿もとをイメージした大胆なカッティングボトル。そのデザインは複数のモルトとグレーンが幾重にも重なり合ったブレンデッドウイスキーであることを表現しているという。キャップはウイスキー樽のオーク材を使用し、伝統工芸の技法を用いて制作したもの。
700本の限定商品「THE NIKKA 40年」は、特製の木製化粧箱にオリジナルデザインのクリスタルグラスと冊子をセットアップした。希望小売価格は50万円(税別)。「THE NIKKA 12年」の希望小売価格は5000円(同)で、ともに1本700ml詰めボトル、アルコール度数は43%。(編集担当:吉田恒)