国際カーエレクトロニクス技術展、今年は過去最多の出展数

2013年01月12日 10:20

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ロームは自動車市場も注力市場のひとつとしており、電源ICからカーアクセサリーに至るまで、幅広く採用されている。画像は、実際の採用製品を集めたワイヤーフレーム。

 矢野経済研究所の調査によると、2012年は前年比10.5%増の227億4000万ドルへと伸長する見込みとなっている車載用半導体世界市場。さらに年々厳しくなる環境規制に対応する為に様々な電子制御システムの搭載が進み、新興国においても安全システムの義務化が進むとみられ、2020年には403億ドルにも上ると予測されている。こうした中、1月16日から18日の間、カーエレクトロニクスに特化した日本唯一の専門技術展「国際カーエレクトロニクス技術展」が東京ビッグサイトで開催される。

 今回で第5回となる本技術展には、EVから一般住宅への電力供給を世界で初めて実現したEV用充電・給電システム「EVパワーステーション」や世界最小最軽量のEV用超小型急速充電器を擁するニチコン<6996>、車載マイコンのイメージが強いルネサスエレクトロニクス<6723>などをはじめ、昨年比110社増の過去最多となる460社が出展し、総計120もの専門技術セミナーも実施される。

 自動車市場は蓄電池やマイコンなどに注目の集まりやすい市場だが、自動車のエレクトロニクス化、高機能化に伴い消費電力削減も必須課題となっており、それは部品レベルでも要求されている。例えば、今回の「国際カーエレクトロニクス技術展」にも出品されるローム<6963>の車載用LDOレギュレータ「BD7xxL2EFJ-Cシリーズ」は、業界最高の低暗電流6μAを実現。暗電流を従来品に比べ80%低減し、体積も約80%削減した製品で、自動車の低消費電力化に貢献するものとして9月から月産20万個の規模で量産を開始している。暗電流とは、キーレスエントリーのリモコンやセキュリティ装置の待機電力、オーディオやコンピューター(ECU)の記憶保持、時計など、エンジン停止時など自動車の待機時に消費される電流のこと。この待機時バッテリ消費電流が多くなるとバッテリの放電が早まるため、長期間の駐車や船便で海外輸出する際など長期間乗車しない場合にバッテリが上がる可能性がある。しかし、電流の低減には、小型化が困難であることや回路起動が遅くなるなど、多くの課題があるという。こうした課題を、長年培った技術を結集して解決した製品が「BD7xxL2EFJ-Cシリーズ」である。ロームは、こうした製品を筆頭に電源ICとカーインフォテイメント向けソリューションを大きなテーマとして出展するという。

 注目度と相反し、走行距離の短さや価格、不十分なインフラなどにより、なかなか普及に弾みがつかないEV。しかし、日本の技術が集結した本技術展では、こうした課題を解決し得る技術が数多く見られうであろう。意外な企業の技術が、状況を打破する鍵となるかもしれない。半導体も自動車も、日本を代表する産業である。他国企業に負けない日本の技術力を大いにアピールできる技術展となることを期待したい。(編集担当:井畑学)