インターネット企業が途上国市場の開拓を本格化している。国際電気通信連合(ITU)によると、世界のネット人口は2014年11月に30億人を超えた。しかし、世界にはネットを利用していない人が43億人も残されている。そのうち9割が途上国に住む人たちだ。
インターネット企業が途上国市場の開拓を本格化している。国際電気通信連合(ITU)によると、世界のネット人口は2014年11月に30億人を超えた。しかし、世界にはネットを利用していない人が43億人も残されている。そのうち9割が途上国に住む人たちだ。
グーグルのスンダル・ピチャイ上級副社長も、3月上旬にバルセロナで開催された携帯見本市「モバイル・ワールド・コングレス」(MWC)で、「世界にはネットへのアクセスを持たない人が40億人いる。我々はこの40億人にネットを届ける大規模なプロジェクトに取り組んでいる」と語っている。
フェイスブックは、すでに13年に携帯端末機器メーカーなどと共同で非営利団体「Internet.org」を設立した。全世界にインターネット環境を整備するのが目的だ。そのHPは「現在インターネットにアクセスできるのは3人に1人のみです。なぜインターネットが普及していないか。デバイスが高すぎる。サービス・プランが高すぎる。携帯ネットワークのサービスエリアが狭い…」と訴えている。「Internet.org」は、通信事業者と連携し、「Internet.org」アプリの提供という形で限定的な接続サービスを無料で提供している。昨年10月以来、タンザニア、ケニア、コロンビア、ガーナ、インドでアプリの提供を開始している。さらに「Internet.org」は、無人機(ドローン)を利用して空から接続サービスを提供することを検討している。
一方グーグルは、気球を使って空からネット接続サービスを提供する「プロジェクト・ルーン(Project Loon)」の実験を行っている。上空20キロメートル付近の成層圏風に気球を漂わせ、地上に電波を発信して接続サービスを提供する構想だ。
グーグルは今年1月には、宇宙開発企業スペースX社に10億ドル出資すると発表している。スペースX社は、低価格のインターネット接続サービスを提供するための人工衛星開発プロジェクトを推進している。さらにグーグルは、昨年買収した米ベンチャー、タイタン・エアロスペースが開発した無人機の飛行実験を開始する予定だ。全世界のネット環境が整う日は、意外に近いかもしれない。(編集担当:久保田雄城)