中国の百度、自律走行車でグーグルを追撃

2015年04月03日 08:18

 中国の検索サイト最大手、百度(バイドゥ)が、自律走行車の研究を進めていることが明らかになった。同社創業者でCEOの李彦宏氏が3月10日に北京で、自動車メーカーと協力して研究を進めていると語った。

 この分野では、すでに昨年12月にグーグルが自律走行車のプロトタイプとしては初となる完成版を披露している。5年以内に自律走行車を市場に出すために、グーグルは自動車メーカーとの提携も検討している。果たして百度はグーグルを追撃できるのか。

 李彦宏氏は、北京大学を卒業した後、ニューヨーク州立大学へ留学。Infoseekなどを経て、中国帰国後の2000年1月に百度を創業した。05年にNASDAQに上場、07年にはソニー前会長の出井伸之氏を社外取締役に迎えている。

 百度は13年に、人工知能の研究所を北京に開設、画像認識や音声認識、自然言語解析、機械翻訳などの研究を推進してきた。そして、同社は昨年5月、人工知能の研究所を米カリフォルニア州サニーベールに開設した。百度が同研究所トップに迎えたのが、人工知能研究の第一人者として知られるスタンフォード大学のアンドリュー・ング氏だ。ング氏は、グーグルで「ディープラーニング」(深層学習)チームの立ち上げに関わった。「ディープラーニング」とはコンピュータが人間の脳のように自律的に学習していく仕組み。

 百度は、昨年9月に北京で開催した技術革新カンファレンス「Baidu World」でも「ディープラーニング」技術を活かしたソリューションを披露していた。

 李彦宏氏は全国政治協商会議委員も務めており、百度の自律走行車研究を明らかにする直前、人工知能インフラ「中国ブレーン」を国家レベルで制定し、中国の人工知能を飛躍的な発展を促すべきだと提案していた。これは、人工知能を社会インフラとして科学研究機関、企業など社会の各方面に開放していくという構想で、中国が軍を含む官民一体で人工知能の発展を急ぐことを促す発言として注目される。自律走行車研究で先行する先進国企業に対して、官民挙げての中国の追撃が本格化するかもしれない。(編集担当:久保田雄城)