百貨店での衣料品購入は減り続ける

2013年01月13日 16:56

 百貨店の売上高減少が止まらない。ピーク時の91年には9兆円以上あった売上高は、2011年には6兆1525億円と3分の2まで減少した。流通大手イオンの売上高は5兆2061億円(2012年2月期)。数年のうちに、イオン1社の売上高が全国の百貨店の合計を超えるだろう。

 百貨店が低迷する理由は、少子化や可処分所得の減少などが考えられる。だが上述のイオンのように、不況下でも業績を伸ばす業種はたくさんある。百貨店が消費者の変化に対応できていないのだ。

 減少幅がとりわけ大きいのは衣料品。消費者の服に対する出費は、この10年間で30%も減った(総務省「家計調査」 )。消費者が服にお金を使わなくなり、服の購入場所が変化したのだ。

 ある調査では、洋服の購入先において「ネット通販」が50%を超えた((株)メディアインタラクティブによる調査、2011年)。今や50代でも3割がネット通販を利用している 。

 衣料品の通販サイト、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの売上高は、この5年で5倍以上となった。主な利用者は20~30代の若者。従来なら百貨店で売られていたブランドが、自宅にいながら送料無料で買える。会員数は年々増え続け、400万人を突破した。百貨店はこの勢いをどう見ているのだろう。

 百貨店業界では毎月の売上高が公表されるたびに、「11月は気温が平年を下回り、コートなど重衣料を含む主力の衣料品が好調」といったコメントが出される。だが業績が低迷する中、衣料品の売上を気温に起因させるようなこのコメントは、百貨店の言い訳のようにすら聞こえてしまう。気温だけを理由に買い物するかどうか決める消費者はいない。暖冬でも、ユニクロは年間1億枚のヒートテックを売っている。

 2012年の百貨店の売上高は、東日本大震災後の消費低迷の反動などから16年ぶりに前年比プラスに転じたようだ。しかし、百貨店が消費者の行動を不況と気温だけに起因させているうちは、主力の衣料品が大きく売上を伸ばすことはないだろう。