キヤノングループが医療事業の強化を急いでいる。
米国では、2月にキヤノンUSAの子会社「キヤノンUSライフサイエンス」と、遺伝子診断装置を手がける米「T2バイオシステムズ」が、関節炎の一種「ライム病」の検出装置開発で提携した。
キヤノンUSA は、3月には「キヤノンバイオメディカル」を設立している。「キヤノンバイオメディカル」は医療関係機器の開発、生産からマーケティングまでを行う。すでに同社は、高精度で高速の検査が可能な遺伝子診断装置の開発に乗り出している。先天性の疾患や病気の可能性などの検査だけではなく、感染症や食物の検査などへの応用も検討している。キヤノンUSAは同月、オンデマンド遺伝子解析を手がけるカナダのスパルタンバイオサイエンスへの投資も決めている。
一方国内では、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)<8060>が、昨年9月に3D医用画像解析技術に強いAZEをグループに迎え入れ、10月には医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」を開発した。その第一弾として遠隔読影インフラサービスを開始した。
そして今年4月、その第二弾として、医療施設内の医用画像をクラウドサービスに保管する「医用画像外部保管サービス」の提供を開始すると発表した。
「医用画像外部保管サービス」を利用することで、医師はCTやMRI、X線撮影装置などで撮影した患者の検査画像をクラウド上に保管することができるようになる。今後も、キヤノンMJは、「Medical Image Place」をプラットフォームに、診断支援アプリなどのオプションを利用できるサービスを順次投入していく計画。
キヤノンMJは中期経営計画の成長戦略として医療事業の強化・拡大に注力しており、17年に医療事業全体で売上高350億円を達成することを目標にしている。同社グループの医療事業がますます加速しそうだ。(編集担当:久保田雄城)