ルネサスが減収となるも大幅に黒字回復へ

2015年05月17日 14:22

 ルネサス エレクトロニクス<6723>が大幅に黒字転換した。同社が14日に発表した2015年3月期の決算によると、売上高は前年度比べ5.0%減の7,911億円だったものの、営業利益は同54.4%増の1,044億2,700万円、純利益は前期の52億9,100万円の赤字から823億6,500万円の黒字に転換した。

 売上高の減少については、半導体が堅調に推移したことに加え、為替レートが改善したものの、同社グループが推進している事業の選択と集中により、中小型パネル向け表示ドライバICなどの携帯端末向けや民生用電子機器向けなどの半導体売上高が減少したことが主な要因としている。

 一方、損益については、営業損益は前連結会計年度と比べ368億円の改善となった。これは、事業の選択と集中などにより携帯端末および民生用電子機器向けなどの半導体売上高が減少したものの、同社が注力している自動車および産業機器向け半導体が堅調に推移したことや為替レートが改善したことに加え、構造改革施策の実行により売上総利益率などの収益構造が改善したことなどによるものとしている。

 また、経常損益は1,053億円の利益となった。これは、為替差益などの営業外収益を77億円計上した一方、支払利息などの営業外費用を68億円計上したことにより、営業外損益が9億円の利益となったことによるものという。なお、為替差益は46億円となった。これは、同連結会計年度末時点での外貨建て現金および預金、債権、債務の為替レートの変動による評価替えと、売上、仕入の計上時と決済時の為替レートの差により計上したものである。

 そして、純損益は824億円の利益となり、前連結会計年度と比べ877億円の改善となった。これは、構造改革施策の実行などにより営業損益や経常損益が改善したことに加え、事業構造改善費用を中心とした特別損失の計上が減少したことや事業譲渡による特別利益を計上したことなどによるものとしている。

 2015年度第1四半期は、全社売上高が前年度同期比14.0%減の1800億円、半導体売上高は同13.5%減の1740億円、売上総利益は750億円(総利益率41.7%)、営業利益は250億円(営業利益率13.9%)を予想している。

 迷走が続いたルネサスだが、ここにきて状況は改善されてきた。今後のさらなる再建に期待したい。(編集担当:慶尾六郎)