企業は、2016年以降、税や社会保障の手続きでマイナンバー制度に対応することが求められているほか、従業員とその家族のマイナンバーの情報を企業自らの努力により収集・管理する必要が生じるなど、さまざまな準備が発生すると見込まれている
マイナンバー制度が導入されることに先立ち、10月には市区町村から全国民へマイナンバーの通知が開始される。さらに、2016年1月からは、社会保障や税、災害対策の分野での番号の利用が始まる。企業は、2016年以降、税や社会保障の手続きでマイナンバー制度に対応することが求められているほか、従業員とその家族のマイナンバーの情報を企業自らの努力により収集・管理する必要が生じるなど、さまざまな準備が発生すると見込まれている。
しかし、帝国データバンクの調査によると、対象企業の9割超は何らかの形でマイナンバー制度に対する認識を有していたが、対応が進んでいないという結果になった。この調査は、TDB景気動向調査2015年4月調査とともに行った。調査期間は 2015年4月16日~30日、調査対象は全国2 万3,211社で、有効回答企業数は1万720社(回答率46.2%)だった。
まず、マイナンバー制度に対する認知について尋ねたところ、「内容も含めて知っている」と回答した企業は 43.5%となり、マイナンバー制度の内容まで知っている企業は約4割にとどまった。「言葉だけ知っている」という企業が半数超に上っているものの、企業の9割超は何らかの形でマイナンバー制度に対する認識を有していた。
従業員数別では、概ね従業員数が多くなるにしたがって、認知度も高くなる傾向がある。特に、従業員数が1,000人超の企業では64.2%がマイナンバー制度を内容まで知っている。他方、従業員数が20人以下の企業では3割台にとどまっており、規模の小さい企業において制度の理解が進んでいない様子がうかがえるとしている。
また、マイナンバー制度について「内容も含めて知っている」「言葉だけ知っている」のいずれかを回答した企業1万271 社に対して、同制度をどのような経路で知ったのか尋ねたところ、「新聞」が61.3%で最多となった(複数回答)。次いで「テレビ」(40.6%)が続き、多くの企業がマスコミ媒体を通じてマイナンバー制度に関する情報を入手している。
そして、自社におけるマイナンバー制度への対応状況について尋ねたところ、「対応は完了した」という企業はわずか 0.4%だった。対応を検討・進めているとした「対応中」は18.7%で、対応完了と合わせても2割に満たない。また、「予定はあるが、何もしていない」企業が62.0%に上っており、マイナンバー制度について多くの企業は認識を持っているにもかかわらず、対応が進んでいない実態が浮き彫りとなったとしている。同制度への対応状況について、対応完了から予定はあるが何もしていない企業まで、現時点の進捗率は平均8.9%にとどまっている。(編集担当:慶尾六郎)