政府の恣意的判断 防ぐ仕組み設けている 総理

2015年05月27日 16:46

 安倍晋三総理は26日の衆議院本会議で民主党・枝野幸男幹事長が新3要件の判断基準について、政府の恣意的判断の可能性が拡大しているのではないか、などの質問に答え、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命及び自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とは、武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国が攻撃を受けた場合と同様な深刻・重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいう。今回の法整備では、これを『存立危機事態』としている」と説明した。

 そのうえで安倍総理は「これにあたる事態については個別具体的な状況に則し、政府がすべての情報を総合して、客観的・合理的に判断することになる」と述べ、「我が国と密接な国に武力攻撃が発生した場合において、主に攻撃国の意思・能力・事態の発生場所・事態の規模・推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、我が国国民がこうむることになる深刻性・重大性などから客観的合理的に判断する」と説明。

 「存立危機事態に至った時は、事態の経緯、存立危機事態であることの認定および認定のもとになった事実、存立を全うし国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するために武力行使が必要であると認められる理由などを明記し、対処基本方針を策定して、国会の承認を求めることとしている。このように厳格な基準のもとで政府が判断するのみならず、国会の判断も頂いて、民主主義国家として適切に判断される仕組みを設けている」と政府による恣意的判断の可能性がないよう担保されているとした。

 枝野幹事長はこの日の質問で「いわゆる新3要件では『わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること』という、曖昧な主観的要件によって、政府による恣意的判断の可能性が著しく拡大している。存立が脅かされ、根底から覆されるというのは、いかなる事実に基づき、いかなる基準で判断されるのか。さらには、明白な危険の判断基準はどうなのか。総合的判断という抽象的で無責任な答弁ではなく、法的な根拠を含めて、具体的な判断基準を示せ」と総理に質した。(編集担当:森高龍二)