高まる賃貸住宅ニーズ。今求められる賃貸住宅の条件とは?

2015年05月30日 19:42

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マンションのようなオートロック集合玄関で風格を持たせた積水ハウスの賃貸住宅「プロヌーブ・リミテッド U」

 不動産情報サービスのアットホーム株式会社の調べによると、2015年4月期の東京23区の居住用賃貸物件成約数は、ユーザーの都心志向により、前年同期比で3か月連続の増加となった。また、1戸あたり成約賃料の首都圏平均は、賃貸マンションが8.92万円で、前年同月比0.3%上昇し、7か月連続のプラス。賃貸アパートは6.24万円で、同1.6%上昇し、2か月連続のプラスとなるなど、都市部を中心に賃貸住宅の入居ニーズは旺盛だ。

 2015年1月からの相続税の課税強化への対策として賃貸住宅経営などを検討する人が増えている。しかし、オーナーになるにあたって気になるのは「入居者を安定して確保できるか」ではないだろうか。

 理想は常に満室で、たとえ空き室が出ても募集をかけるとすぐに決まるような物件だが、当初は「新築」というプレミアで入居者が集まるが、年数が経ってくると物件の真の「魅力」が問われてくる。空室リスクを回避するには、大手メーカーを中心に用意する家賃保証や一括借り上げが一つの解決策になるが、メーカーによって借り上げ入居率に差があることには注意したい。また、保証水準を維持するためには、やはり安定した入居が前提となり、入居者を確保するために綿密なマーケティングに基づく入居者ニーズに合う賃貸住宅の提案が不可欠だ。

 長年にわたって入居者獲得に苦労しない賃貸経営を現実にするためには、建築前から将来のことを充分に考えておく必要があるだろう。

 今は家賃の安さや駅近などの立地条件だけではなく、物件の魅力も重要視される。賃貸住宅入居者も安全面や断熱性などの住まい心地や内装、設備のグレード、外観の高級感にまでこだわる人が増えているという。

 そんな中、大手メーカーを中心に、高級感のある集合住宅がちょっとしたブームとなっている。例えば、住友林業<1911>の「フォレストメゾン フリースタイル」などは、木造賃貸住宅のイメージを一新するような、圧倒的な外観デザインを特長としている。もちろん、内装も同社ならではの木質感溢れる住空間が演出されており、入居者にとっても大きなアピールポイントになっているようだ。

 一方、積水ハウス<1928>は、今年5月より「プロヌーブ・リミテッド U」を新発売した。同商品は、2階建てでありながらマンションで導入されるオートロック集合玄関ドアやエントランスウォールなどで高級感とセキュリティ性能を高めた。今年4月より完全施行された新たな省エネルギー基準「平成25年基準」にいち早く対応した住宅性能表示制度の断熱最高等級と耐震最高等級、RCマンション並みの高遮音床「シャイド55」などを標準採用することで高い省エネルギー性能と安全性、快適性を実現する戸建住宅に匹敵する基本性能の高さも特長だ。内装も天井まで高さのある建具を標準採用するなど、これまでの賃貸住宅とは一線を画す高級感を持つ。また、通常8戸だと2つ必要な集合玄関・内階段を1つにすることで敷地を有効活用しながら、エントランスのデザインやオートロックなどの魅力付けを行うプランを提案するなど、付加価値を高めながらコストを抑える工夫もある。

 入居者の満足感を高めることは、物件の資産価値の向上と長期安定経営につながる。また、近年、質が高まりつつある賃貸住宅で将来にわたり競争力を維持するためには、一歩先の性能や仕様を先取りしていくこともポイントとなるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)