安保法案が成立・施行なら違憲訴訟へ

2015年06月16日 10:00

 日本外国特派員協会で15日に記者会見した小林節慶応大学名誉教授は集団的自衛権行使を含む安保法案が成立し、施行されれば違憲訴訟で違憲性を問う考えを示した。小林氏は「弁護団の一員として訴訟準備をしている」と語った。

 また「憲法違反がまかり通ると憲法に従って政治を行うというルールがなくなり、北朝鮮みたいな国になってしまう。安倍さんの言う通りにしたら、自衛隊はアメリカの軍隊の二軍になり、傷ついた上に破産してしまう」とも語った。

 また6月4日の衆院憲法審査会で与党側推薦の参考人として出席し、野党側推薦の参考人らと同様「安保法案は違憲」とした長谷部恭男早稲田大学教授は「政府は安保法案を撤回すべき」とした。長谷部氏はその理由として「集団的自衛権の行使容認は明らかに憲法違反であり、かつ違憲である他国の武力行使と自衛隊の活動の一体化をもたらす蓋然性が高い」と警鐘を鳴らした。

 日本記者クラブでの記者会見で、小林氏は「集団的自衛権はヤクザ映画で見る組同士の出入りで、傘下の組が四の五の言わずに馳せ参じる関係。その瞬間、我が国の軍事組織が海の外に出て行くと憲法違反になる。だから専守防衛というがんじがらめの中で、我が国は他国防衛のために海外派兵を本質とする集団的自衛権はそもそも行使できない」と語った。

 自民党の高村正彦副総裁らが最高裁の砂川判決に根拠を求めたことにも「解釈も珍妙。問われたのは在日米軍基地の合憲性。アメリカの集団的自衛権を行使して日本に駐留することの合憲性であって、日本の集団的自衛権なんかどこも問われていない。根拠とする発想自体がそもそもおかしい」とし「高村さんの言うことが常識だったら、私もそのように習ったし、そう教えてきましたよね。ああいう解釈をこの歳になって初めて知った」と解釈に無理があることを示した。

 また、統治行為論についても「統治行為論は戦争と平和は一度引き金を引いてしまうと後戻りできない特別な行為だから、選挙で選ばれていない15人の裁判官で決めることはできない。むしろ選挙で選ばれた国会議員と互選された総理から決めてくれということ。法的判断はできるけどしないで、国会と内閣の法判断に一時的に委ねる。最終的には主権者が選挙で決めるということになっている。高村さんの話だと最終的に委ねられたことになってしまう」と問題視した。(編集担当:森高龍二)