16年3月に卒業を予定する学生の就活が本格化して、2ヶ月以上が過ぎた。近年は外国人留学生を積極採用する企業も多く、就活市場もグローバルな競争下にあるといえる。株式会社ディスコ(本社・東京)が、現在就活中の外国人留学生約500人を対象に調査したところ、5月時点で内定を得ている学生は、全体の5.5%だった。日本人学生の内定率(17.9%)と比較して、かなり遅れをとっている。
調査は2015年5月7日~29日、「日経就職ナビ2016」に登録している外国人留学生(大学4年生・大学院修士2年生)3715人を対象にウェブ上で実施し、506人が回答した。5月時点のエントリー社数をみると、留学生全体で32.8社と、ほぼ同時期の日本人学生の50.8社と比べて3割以上少ない。一方で、企業のセミナーに参加した数は32.5社と、国内学生(41.9社)との差が縮まっている。留学生たちは、数多くのセミナーに参加しながらも、結局どのようなビジネスモデルの企業なのかあまり理解できず、エントリーを迷っているのかもしれない。その結果、内定率も低くなっている可能性がある。
現在の語学力を尋ねたところ、日本語力については「ネイティブレベル」が20.6%、「ビジネスレベル」が58.3%だった。JLPT(日本語能力試験)のレベルは、最高レベル「N1」を保有している学生が82.8%と、かなり高い。英語力についても「ネイティブレベル」が2.4%、「ビジネスレベル」が26.5%と、3割弱がビジネスレベル以上の英語を話すことができると回答した。外国人留学生たちの語学力は、全体的にハイレベルだ。将来の「出世希望ランク」を尋ねたところ、「社長」と回答した学生が25.9%と最も多かった。「社長になりたい」外国人学生は、日本人学生の10.6%と比べて2倍以上。高い「経営者志向」が伺える。
一方で、今年の就職戦線をどのように見ているか聞いたところ、「非常に厳しい」と感じている留学生は、15年卒者では22.7%だったのが、2016年卒者では38.3%と大きく跳ね上がった。この傾向は国内学生も同様だ。調査したディスコでは、「採用スケジュールの変更で就職活動全般が不透明であること、短期決戦となることなど、不安が先行していることが数字に表れている」とコメントしている。(編集担当:北条かや)