政府の経済財政諮問会議の民間議員でもある日本経済団体連合会の榊原定征会長は、閣議決定された政府の財政健全化計画や成長戦略に対し「経済界の考え方と軌を一にする内容で高く評価する」と評した。
榊原会長は「2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の堅持、経済再生と財政健全化の両立、イノベーションとグローバリゼーションを軸とする成長戦略の推進を訴えてきた」とし、成長戦略については課題の早期実現を求めた。
榊原会長は、特に「ビジネス環境を一層改善するために、法人実効税率の20%台への早期引下げ、安価で安定的なエネルギー供給の実現、TPP等の経済連携協定の締結、雇用・働き方改革等」をあげ、「従前からの課題を早期に克服する必要がある」とした。
改めて、原発再稼働を急ぐこと、TPP協定の締結、労働界が猛反対している労働者派遣法改正案の成立など労働法制の見直しを求めたもの。
菅義偉官房長官は「改訂成長戦略」について「人口減少下の供給制約を乗り越えるため未来投資による生産性革命の実現を図る新たな施策を追加する。あわせて規制改革実施計画に基づき、成長戦略を推進するとともに、国民に多様な選択を可能とする岩盤規制改革に取り組む」と労働法制の見直しに強い意欲をみせている。
榊原会長がメンバーをつとめる経済財政諮問会議は総理はじめ財務大臣、官房長官、経済財政政策担当大臣、総務大臣、経産大臣、日銀総裁、学者を含む民間人4人からなる「関係国務大臣や有識者議員等の意見を十分に政策形成に反映させることを目的として、内閣府に設置された合議制の機関」であるだけに、経済界の意見が色濃く反映されるのはいわば当然で、労働界から民間議員はいない。政府方針が経済界の考え方と軌を一にする内容と評価するのは当然の帰結といえそう。(編集担当:森高龍二)