企業の新卒採用選考活動が活発化しているという。矢野経済研究所では、国内の新卒採用支援市場について調査を実施、25日にその結果を発表した。それによると、14年度の市場規模は前年度比104.6%の1,987 億円を予測している。
まず、2014年度の新卒採用支援市場規模(広義;7 市場合計)は、前年度比 104.6%の1,987億円と予測した。景気回復の恩恵を受けた大企業を中心に採用活動が活発化していることに加え、団塊世代が大量に定年を迎え、また若年労働人口が構造的に減少するなか、中堅・中小企業においても若手社員を積極的に採用する状況となっているという。
また、新卒採用支援市場(広義;7 市場合計)のうち、「就職情報サイト」「就職に関するイベント・セミナー」「採用アウトソーシング」「採用アセスメントツール」「内定者フォロー」の5市場を狭義の新卒採用支援市場とするが、同市場規模(狭義;5 市場合計)は2012年度以降軒並み右肩上がりとなっており、2014年度も前年度比で114.2%の827億円と大幅な拡大を予測した。
分野別の市場動向をみると、就職情報サイトの市場規模は前年度比123.6%の 340億円と予測した。この市場は主に情報掲載企業(求人企業)からの広告掲載料により構成される。企業における採用活動が活発化するなか、価格競争による広告掲載料の単価下落は想定されるものの、中堅・中小企業を中心に掲載社数の増加が見込まれることから、大幅な拡大を予測している。
また、就職に関するイベント・セミナーの市場規模は前年度比123.8%の104億円と予測している。市場は就職情報サイトの関連分野と位置づけられる。就職情報サイト市場に活況に伴い、拡大基調を予測する。
採用アウトソーシングの市場規模は前年度比104.4%の165億円と予測した。一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の「採用選考に関する指針」は、学生の正常な学校教育や学習環境確保の観点から、企業の採用選考活動の時期を限定している。これにより、企業における学生の採用選考活動の期間が短期化することとなり、これに伴い企業側の負担も増すことから外部の専門事業者に業務委託する需要が発生することが見込まれるとした。
そして、内定者フォローの市場規模は前年度比103.6%の86億円と予測した。内定者フォローとは企業・団体に対し内定者管理の支援、内定者に対する事前研修を行うサービス全般をさす。大企業を中心とした採用活動により内定者数自体が増加していることから、市場拡大を予測した。また学生に有利な売り手市場となったことで内定を辞退するケースも増加しており、内定辞退を防止するための対策を強化する企業も増加していると分析している。(編集担当:慶尾六郎)