【MotoGP第9戦】ドイツGP M・マルケス得意のザクセンリンクで今季2度目のV

2015年07月13日 10:21

ドイツGP

3位表彰台を獲得したV・ロッシ

 7月12日、MotoGP第9戦ドイツGPの決勝が行われた。舞台となるザクセンリンクは今季MotoGPが行われるサーキットにおいては最もコンパクトなサーキット(全長3,671m)。アップダウンに富み、右コーナー3、左コーナーが10という左右のコーナー数の差が非常に大きいサーキットのため、タイヤのマネジメントやそのチョイスが難しいテクニカルなコースである。

 気温27℃、路面温度42℃というコンディションで迎えた決勝。予選トップのM・マルケス、2番グリッドのD・ペドロサがまずますのスタートを見せる中、巧みなコース取りでオープニングラップを制したのは3番グリッドスタートのホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)だった。

 このJ・ロレンソにマルク・マルケス(レプソルホンダ)、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)、バレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)と続き、レプソルホンダ・モビスターヤマハの2強がレースを引っ張る展開となった。

 レースが大きく動いたのは序盤の5周目。まず、4番手につけていたV・ロッシがD・ペドロサを抜いて3番手に浮上。同一周の最終コーナーではM・マルケスが先頭のJ・ロレンソを抜いてトップに躍り出た。

 トップに立ったM・マルケスがペースを上げて後続をじわじわと突き放し始める一方、激化したのは2番手争いだった。

 2番手を争うJ・ロレンソとV・ロッシはチームメイトながら接触ギリギリのチェイスを繰り広げたが、8周目にV・ロッシが2番手を奪取。11周目にはD・ペドロサがJ・ロレンソを交わして3番手に浮上した。

 ハイペースながら安定した走りを見せるM・マルケスは2番手以降に大差をつけて独走状態でレースを引っ張った。

 レース中盤、17周目には3番手のD・ペドロサがV・ロッシを抜いて2番手にポジションを上げた。

 M・マルケスは始終安定した走りで堂々の優勝。D・ペドロサとV・ロッシの僅差の2番手争いは長く続いたが、レース終盤にD・ペドロサがスパートをかけてV・ロッシを突き放し2位でフィニッシュ。レプソルホンダは今季初のワンツーフィニッシュを決めた。

 3位は現在ポイントリーダーのV・ロッシ、4位はポイントランキングで2位につけるJ・ロレンソ。この結果V・ロッシとJ・ロレンソのポイント差は13ポイントとわずかに広がった。

 また今季好調のドゥカティはアンドレア・イアンノーネが単独走行で5位、アンドレア・ドビツィオーゾは15周目に転倒してリタイアを喫している。

 今回のレースの舞台となったザクセンリンクはM・マルケスが得意とするサーキット。M・マルケスは2010年(125ccクラス)から通算6連続ポールトゥフィニッシュを成し遂げた。

 今季前半戦最終戦となったドイツGP。前半戦はいまいち波に乗れなかったレプソルホンダだが、ここにきてワンツーフィニッシュを決め復調の兆しが見える。だが、モビスターヤマハも好調をキープしており、特にV・ロッシは開幕戦から全て表彰台を獲得するという抜群の安定ぶり。後半戦は、レプソルホンダとモビスターヤマハの熾烈な攻防戦が見られるかもしれない。

 また今季序盤好調だったドゥカティはA・ドビツィオーゾがここ数戦奮わないものの、A・イアンノーネは好調をキープし、ポイントランキングでも3位につけている。今季後半戦はドゥカティ勢の巻き返しの可能性も大いにあり得る。

 前半の9戦を消化し、これから約3週間のサマーブレイクに入るMotoGP。今のところモビスターヤマハが一歩抜け出した形だ。このままモビスターヤマハが逃げ切るのか、それともレプソルホンダやドゥカティが追い上げを見せるのか。今季本格的に復帰し、まずまずの戦績を残しているスズキの動向も気になるところだ。

 次戦は8月9日、アメリカ・インディアナポリスGP。サマーブレイクを挟み、後半戦に突入するMotoGPだが、昨季とは違い先行きはまだまだ見えない。このままV・ロッシがチャンピオンへの道を突き進むのか、それともJ・ロレンソやM・マルケス、あるいは他のライダーがそれに割って入るのか――後半戦の熾烈なバトルと緻密な駆け引きはきっと面白いものになるに違いない。サマーブレイクが開けるのが何とも楽しみだ。(編集担当:熊谷けい)