マクドナルド、2店舗でオープンキッチンを導入

2015年07月17日 08:40

 今年1月に発覚した異物混入問題の影響に悩まされ続けている日本マクドナルド<2702>だが、今月8日に発表された同社の6月の既存店売上高は前年同月比23.4%ダウンであり、これで17ヶ月連続で前年同月を下回った。さらにマイナス幅は前月5月の22.2%ダウンから1.2ポイント拡大しており、2ヶ月連続でマイナス幅が拡大することとなった。こうした「過去最大級の危機」とも言える状況を改善させるべく、日本マクドナルは15日、埼玉県と大阪府のそれぞれ1店舗、計2店舗を改装し、客席から厨房内部を見ることができる「オープンキッチン店舗」を導入するとの発表を行った。こうした施策により、異物混入問題により失った消費者の「食への安全」に対する信頼感を回復させたい考えだ。

 「オープンキッチン店舗」に改装されるのは、埼玉県にある「イオンモール北戸田店」と大阪府にある「イオンモールりんくう泉南店」の2店舗で、外壁の一部をガラス張りにすることで、客席からお客が店員の調理の様子を見ることができるようになる。日本マクドナルドでは、すでに「オープンキッチン」を導入した店舗はあるが、今回の2店舗の改装による顧客の反応を確認しつつ、今後拡大していくかどうかを検討するという。

 「イオンモール北戸田店」と「イオンモールりんくう泉南店」では17日から「オープンキッチン」が導入され、両店ともに大型ショッピングモールのフードコート内に店舗があり、訪れるお客の多くはファミリー層とのこと。日本マクドナルドは、そうしたお客に安心して食事を楽しんでもらいたいとしている。
 
 さらに「イオンモール北戸田店」では、同時に「デュアルポイントサービス(DPS)」も導入され、注文カウンターと商品受け渡しカウンターを別々に設ける。「デュアルポイントサービス」とは、商品を注文するとレシートに受け取り番号が印字され、商品の準備が整うと受け渡しカウンターにあるディスプレイにその番号が表示されるもので、これによりお客は待ち時間の間も列に並ぶ必要がなく、自由に快適に待つことができるようになる。

 「調理風景の透明化」は、消費者の「食への安全」に対する信頼感回復として一定の効果があるだろう。しかし、今の日本マクドナルドの状況を考えると、これだけで抜本的に経営状態を改善させられるとは考えにくい。改善に向けた一歩であることは確かだが、まだまだその一歩は「小さな一歩」でしかない。(編集担当:滝川幸平)