パナソニックヘルスケアホールディングス(PHCHD)は、独医薬・化学大手のバイエルの子会社バイエル・ヘルスケアから、糖尿病ケア事業を買収する。買収金額は、10億2200万ユーロ(約1380億円)。
PHCHDは、傘下のパナソニックヘルスケア(PHC)診断薬事業部を通じて、糖尿病患者向け血糖値測定器・センサーの開発製造を手がけてきた。
バイエル・ヘルスケアは、糖尿病ケア事業として、患者、医療従事者向けに血糖値測定システムを提供している。125カ国以上で事業展開しており、事業規模は売上高9億900万ユーロ(2014年)にのぼる。
PHCの「高品質で、コスト競争力を備えた開発製造機能」と、バイエルの「グローバルな販売網」を統合することにより、競争力を高めるのが狙いだ。
世界保健機構(WHO)によると、世界の糖尿病患者は約3億5000万人。今後、特に中低所得国において、糖尿病患者は増加すると予測されている。一方、国際糖尿病連合(IDF)によると、世界の糖尿病有病数は3億7100万人(2012年)に上るが、そのうち1億8700万は糖尿病と診断されず治療を受けていない。こうした中で、血糖値測定のための、より低価格な製品の提供が期待されている。
今回の買収について、バイエル・ヘルスケアの糖尿病ケア事業責任者であるマイケル・クロス氏は次のように語っている。
「糖尿病ケア製品の製造と販売を担う強力なリーダーである2社による今回の画期的な合意は、糖尿病患者の生活の質の向上を目指す革新的なソリューションの実現に取り組む、世界的に大規模な事業を創造することになるでしょう」
PHCは血糖測定値のほか薬用保冷庫、電子カルテなどを手がけている。親会社だったパナソニックが、2014年に保有株を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却し、現在はKKRが8割を出資している。
今回の買収によって、世界の糖尿病ケア市場におけるPHCHDのプレゼンスが一気に拡大することになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)