矢野経済研究所では、国内のお稽古・習い事市場の調査を実施した。この調査におけるお稽古・習い事とは、先生(師匠・講師・コーチ)が一般消費者(大人・子供・幼児いずれも含む)に教えるお稽古・習い事で、民間事業者が運営する教室・スクール、公民館など公的施設で開催されるサークル・催し、講師個人宅で開かれるお稽古、通信教育やインターネットを介した e ラーニングなどを指す。市場規模はレッスン受講者から支払われる受講料ベースで算出した。
それによると、2014年度のお稽古・習い事市場規模は受講料ベースで、前年度比 0.3%減の1兆9,858億円であった。分野別では、スポーツ教室6,440億円(構成比32.4%)、日本文化教室(華道、茶道、書道、日本舞踊、囲碁、将棋、短歌、俳句、着付け)3,29億円(16.6%)、英語教室(スクール・市民講座)3,070億円(同15.5%)、アート教室(絵画・彫刻、写真、陶芸、手芸、フラワーアレンジメント、ガーデニング)2,584億円(同13.0%)、ダンス教室(バレエ、社交ダンス、ジャズダンス・ヒップホップ他)2,245億円(同11.3%)が上位を占めた。
少子高齢化の進行による対象人口の減少もあり、前年度と比較すると大半の分野が前年度割れとなった。その中で、前年度より市場規模が上回った分野は、幅広い年齢層が健康を意識して参加するスポーツ教室(前年度比 100.9%)、小学校における英語必修化やビジネス環境のグローバル化、東京オリンピック・パラリンピック開催決定に伴い通訳ボランティアへの参加などの環境が注目される英語教室(前年度比101.4%)であるとした。
またこの調査に関連し、2015年5月に実施した消費者アンケート調査によると、首都圏や近畿圏、その他の政令指定都市に在住の20歳代~60歳代の男女で、現在お稽古・習い事を実施している人、あるいは過去1年以内に実施していた人、今後1年以内に実施予定の1,079 名に対し、「2020 年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックがきっかけとなり始めた(1年以内に始める予定含む)お稽古・習い事があるか」尋ねたところ、「ある」と回答した人は12.5%と約1割の回答が得られた。
「ある」と回答した135人のうち、始めた習い事の種類としては「語学・外国語」が65.2%と大きく他に差をつけてトップとなった。「語学・外国語」を始めた動機・目的としては、「通訳ボランティアがしたかったから」(30代女性)や、「普段は海外に行く機会自体無いが、東京オリンピックには多くの観光客が来ると思うから英語を勉強するきっかけになった」(20代男性)など訪日外国人観光客との交流を意識したものが目立つ。今後もこの傾向はさらに高まりを見せるものと予測し、語学・外国語関連サービスの提供事業者にとっては、大きなビジネスチャンスになるものと考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)