近頃、英会話を習い始めたという人が増えている。少し前までは英会話学校といえば費用が高く通う手間も掛かることから、ややハードルの高い習い事という印象が強かった。だが、この数年で英会話を学習するための環境は一変している。オンライン英会話が急激に勢力を拡大しているのだ。
オンライン英会話とは、インターネットを利用した英会話教室のことだ。Skypeなどのビデオ通話アプリケーションを使うことで、自宅にいながら英会話を習うことができる。わざわざ教室に通う必要が無いため気楽に始めることができるのだ。
また、料金の安さも大きな魅力だ。例えば業界最大手のレアジョブ英会話<6096>の場合、ワンレッスン25分を129円から受講することができる。従来の英会話教室では考えられないような金額であり、子どもから大人まで利用者数はうなぎ昇りである。
この安さの秘密は、講師として比較的人件費の低いフィリピン人を多く採用している点にある。もともとフィリピンは英語学習のための短期留学先として有名で、セブ島などにはリゾートを兼ねた専用の施設が多数設立されている。本来、フィリピンの現地語はタガログ語なのだが、若い世代おいては英語教育が進んでおり、日常的に英語で会話が行われている。しかも他の非英語圏の人々と比べ、現地訛りが少ないことも特徴だ。
我が国では小学生から英語が必須科目となり、社内公用語を英語とする企業が増えるなど、オンライン英会話の市場規模が拡大する背景は整っている。事実、スクールの数は既に200を超えていると見られる。だが、順調と思われるオンライン英会話業界もこれ以上スクールが増えれば価格競争に陥る恐れがある。価格競争が起これば同時に講師の質も下がりかねない。そうなれば結局は市場規模を縮小させ、自らの首を絞めることになってしまうだろう。
ネット上でオンライン英会話に関するクチコミを見ると、思ったほど英語が上達しないという意見も目立つ。手軽さからとりあえず始めてはみたものの、目立った成果を得られていないと感じている利用者も少なくないようだ。これは、利用者の持つ隠れたニーズにスクールが応えきれていないからではないだろうか。たしかに料金の低さや、自宅で受講できることは入り口のハードルを下げることに大きく役立っている。しかし、実際に受講した成果を感じさせることが出来なければ、いずれ利用者は離れていってしまう。これからは、利用者の本当のニーズを掴み、それをいかに体系的にプログラム化するか、それがオンライン英会話業界で勝ち抜くポイントとなるだろう。(編集担当:久保田雄城)