29日にデクセリアルズ<4980>が東証1部に直接新規上場する。東京が本社で光学材料、電子材料、接合材料などの製造・販売を手がける。元はソニーグループで投資ファンドのエグジット目的の売出しだけで公募株はない。公開価格は1600円。大型上場で気になる資金吸収金額は864.7億円で、時価総額1008億円に対して85.7%もある。純資産544億円の1.58倍でそんなに無理はしていないものの、夏枯れの時期なので心配はある。
30日にイトクロ<6049>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で「塾ナビ」など教育関連のポータルサイトの運営を行っている。公開価格は1930万円。
海外の今週最大のイベントは28~29日のFOMC。利上げは9月から始まるのか、それとも先延ばしになるのか、29日は声明文の細かいニュアンスを読み解く英文解釈の時間。イエレンFRB議長の記者会見はないので解答解説は抜き。経済指標は30日のアメリカのGDPが重要。31日からのIOC総会でもし「北京冬季五輪開催」が決定すれば、8月の上海市場は勢いを盛り返せそうだ。
27日は中国の1~6月の工業企業利益、ドイツの7月のIFO景況感指数、アメリカの6月の耐久財受注、製造業受注、7月のダラス連銀製造業活動指数、28日は英国の4~6月期の国内総生産(GDP)、アメリカの5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、7月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)速報値、CB消費者信頼感指数、29日はドイツの8月のGFK消費者信頼感指数、フランスの7月の消費者信頼感指数、アメリカの6月の仮契約中古住宅販売指数、30日はドイツの7月の失業率、消費者物価指数(CPI)速報値、ユーロ圏の7月の消費者信頼感指数、アメリカの4~6月期の国内総生産(GDP)、31日はユーロ圏の6月の失業率、7月の消費者物価指数(CPI)速報値、アメリカの7月のミシガン大学消費者態度指数確報値、シカゴ購買部協会景気指数、8月1日は中国国家統計局の7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、それぞれ発表される。
28~29日にアメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。29日(日本時間30日未明)に結果が発表されるが、イエレン議長の記者会見はない。8月恒例のジャクソンホール経済政策シンポジウムも不参加。29日にマイクロソフトの「ウインドウズ10」がリリースされる。29日にブラジル、30日にメキシコで政策金利が発表される。31日から8月3日までマレーシアのクアラルンプールでIOC総会開催。2022年の冬季大会の開催地が中国の北京、カザフスタンのアルマトイのどちらかに決まる。北京なら上海市場にはプラス材料。白紙に戻った2020年東京大会のメイン会場、新国立競技場の建設問題で注文をつけられるかもしれない。
アメリカ主要企業の決算は4~6月期の発表が終盤を迎える。28日にDRホートン、ファイザー、メルク、コーニング、フォード、UPS、ギリアド・サイエンシズ、29日にマリオット、フェイスブック、マスターカード、30日にP&G、リンクトイン、31日にシーゲイト・テクノロジー、エクソンモービル、シェブロンが発表する予定。
およそ人間世界のつまらないイザコザは、ヒマにまかせたアラ探しから始まる。微妙なニュアンスの針小棒大な拡大解釈が、いつの間にか一人歩きして固定観念と化すこともある。株価が企業決算や業績観測記事に左右される「業績相場」では、重箱の隅をつついてほじくり出したささいなディテールが「拡大鏡」にかけられ、株価に決定的な影響を及ぼすこともある。それは今週のFOMCで発表される声明文についても言える。英単語の選び方や語順を「ああだ、こうだ」と講釈しあってはFRBの利上げ時期を読み取ろうとする。そんな「文学研究」に没頭できるのも相場が平和だからこそ。今月前半のギリシャ発の嵐、上海市場発の嵐の真っ最中だったら、それどころではなかったはずだ。
今週はそんなデリケートでセンシティブな週になりそうだ。それでも全体からみれば「コップの中の嵐」で、日経平均は日中値幅が最大139円だった前週同様にボラティリティは小さく、終わってみれば週間騰落は100円、200円程度の幅の静かな週になるとみる。ホリデーシーズンの夏枯れで薄商いが続いていること、国内の環境はポジティブにもネガティブにも大きく振れる要因に乏しいことが、主な理由である。ピークを迎える4~6月期決算も、全体的には堅調になる見通しだ。
そのため、ギリシャと上海の嵐の余韻が残っていた7月13~17日の投資主体別株式売買動向のデータは、あまり参考にならない。東京市場の需給の基本的な構図は「海外投資家vs個人投資家」の対決だが、13~17日の週は海外投資家が前の週の4382億円の売り越しから3748億円の買い越しへ、個人投資家が前の週の5271億円の買い越しから4923億円の売り越しへ「大転換」を遂げていた。それが週間騰落の759円安から871円高へのV字回復の背景にある。しかし前週の週間騰落は106円安と落ち着いた。