【今週の展望】上海市場の行方が日経平均の下値を左右する

2015年07月05日 20:34

 今週、7月第2週(7月6日~10日)は5日間の取引。世界の株式市場の休場日は、9日にブラジル・サンパウロ市場が「護憲革命記念日」で休場。ギリシャの悪い先輩アルゼンチンも「独立記念日」で休場する。

 国内の経済指標は8日の景気ウォッチャ-調査と9日の機械受注が重要。10日はマイナーSQ(オプションSQ)の日。

 6日は5月の景気動向指数速報値、8日は6月上・中旬の貿易統計、6月の景気ウォッチャー調査、9日は5月の機械受注統計、5月の特定サービス産業動態統計、6月のマネーストック、東京都心部オフィス空室率、10日は6月の国内企業物価指数、消費動向調査が、それぞれ発表される。

 6日に日銀の支店長会議が開かれ、黒田総裁があいさつする。日銀の地域経済報告(さくらリポート)が発表される。経団連の榊原会長が記者会見を行う。8日はドイツのボンで開かれているユネスコの世界遺産委員会の最終日。「明治日本の産業革命遺産」の選定はほぼ決定的だが、九州と山口県の観光振興につながるか? 9~10日にTPPの日米間事務レベル協議が行われる。10日はマイナーSQ(オプションSQ)算出日。エルニーニョ監視速報が発表される。

 主要企業の決算発表は小売や外食など2月期決算銘柄の3~5月期決算の発表が続き、流通大手、コンビニがほぼ出揃う。ファーストリテイリング<9983>は9日に発表。

 6日はCVSベイエリア<2687>、バイク王&カンパニー<3377>、壱番屋<7630>、ヨンドシーHD<8008>、フジ<8278>、ベルク<9974>、7日はローソン<2651>、ハニーズ<2792>、クリエイトSDHD<3148>、セブン&アイHD<3382>、不二越<6474>、ケーヨー<8168>、丸栄<8245>、井筒屋<8260>、アオキスーパー<9977>、8日はABCマート<2670>、山下医科器械<3022>、良品計画<7453>、ポプラ<7601>、イオン<8267>、イズミ<8273>、イオンモール<8905>、乃村工藝社<9716>、イオンディライト<9787>、ミニストップ<9946>。

 9日はヤマダ・エスバイエルホーム<1919>、オーエスジー<6136>、東武ストア<8274>、吉野家HD<9861>、ファーストリテイリング<9983>、10日はサカタのタネ<1377>、ディップ<2379>、JIN<3046>、ビックカメラ<3048>、キリン堂HD<3194>、日本毛織<3201>、薬王堂<3385>、住江織物<3501>、久光製薬<4530>、明光ネットワークジャパン<4668>、三協立山<5932>、東洋電機製造<6505>、コーナン商事<7516>、島忠<8184>、ライフコーポレーション<8194>、リンガーハット<8200>。

 今週の新規IPOは3件。7日に富士山マガジンサービス<3138>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、自社サイトで紙の雑誌の定期購読斡旋サービスを提供している。公開価格は2650円。8日にクレステック<7812>がジャスダックに新規上場する。浜松市が本社で、取扱説明書など各種ドキュメントの企画・制作・翻訳・印刷などを行う。公開価格は960円。10日に平山<7781>がジャスダックに新規上場する。東京が本社で、製造コンサルティング、ファクトリーアウトソーシング、人材派遣、有料職業紹介などの事業を行う。公開価格は2130円。来週の新規IPOは16日に1件ある。

 海外の経済指標は、6日のアメリカのISM非製造業景況指数が最も重要。

 6日はアメリカの6月のISM非製造業景況指数、労働市場情勢指数(LMCI)、7日はアメリカの5月の貿易収支、消費者信用残高、9日は中国の6月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、10日はアメリカの5月の卸売在庫、卸売売上高が、それぞれ発表される。

 5日に債務問題をめぐるギリシャの国民投票が投開票され、日本時間で6日朝には大勢が判明する見通し。7日は欧米6ヵ国とイランの核開発問題をめぐる交渉の期限日。8~9日にイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ、政策金利が発表される。8日に6月16、17日に開催されたFOMCの議事録が発表される。7日にオーストラリア、9日に韓国が政策金利を発表する。10日にイエレンFRB議長が講演する。

 アメリカ主要企業の決算は、8日にアルコアが発表する予定。

 前週は「ギリシャ・ショック」からリカバリーした週だった。6月29日ザラ場の20093円から、3日間で20600円台にタッチするまで508円も上昇し、月~木曜の終値の騰落率は+2.0%。一方、NYダウの月~水曜の終値の騰落率は+0.9%で、ギリシャの隣人ヨーロッパ市場は低迷から立ち直る兆しもなく、上海は大幅下落だったので、週間騰落が166円のマイナスでも、東京市場は世界のマーケットの中で健闘し「殊勲賞」ものだった。

 殊勲の基盤はやはり改善した需給で、6月26日時点の裁定買い残は19日時点よりも1805億円増加して2.9兆円だったが、それでも12連騰中の5月29日の3.8兆円に比べると約24%も低い水準。貸借倍率は4.14倍から3.91倍に低下していた。東証が発表した6月22~26日の週の投資主体別株式売買動向によると、外国人は3週ぶりに買い越して+1456億円、個人は4週ぶりに売り越して-3730億円、信託銀行は+464億円だった。

 需給のリスクが低下したおかげで、前週はギリシャ・ショックや、上海市場が3週間で約28%も下落し「バブル崩壊」を連想させて心配された「売りが売りを呼ぶパニック」も、先物主導で突然ボロボロ売られる「ゲリラ急落」も起こらず、2万円の大台を死守した。2日大引け後発表の6月の売上2ケタ減「ユニクロ・ショック」の影響も、3日にメガバンク銘柄などが買われカバーされた。