総理周りの経産官僚は先がみえていないと元総理

2015年07月27日 11:25

 脱原発に取り組む菅直人元総理は東京電力福島第一原発周辺自治体を今月視察した感想をブログに紹介。「飯館村や南相馬市の除染の状況を視察した」としたうえで「除染は現在まで住宅付近だけに限られ、これから田んぼや畑が対象となる。面積の大半を占める森林は対象に入っていない。そのため、住宅付近で一度線量が下がっても山から放射能が下りてきて、元の水準に戻ってしまう例も多いと聞いた」と除染の困難さを紹介した。

 また「水源地ダム周辺でも山からの水が流れてくる道の脇では、局所的には10μ㏜に達するところがあった」と紹介した。

 避難中の住民の帰還についても「もともと3世代同居で住んで農業や酪農に従事していた人が多い中で、若い世代は戻らない選択をする人が多く、高齢者だけ戻って生活が成り立つのかという心配がある」としたうえで「国や県は画一的な方針を押し付けるのではなく、きめ細かく聞き取り調査をし、被災者の選択を重視してどのようなフォローができるかを考えるべき」とより実効性のあがるサポートが必要としている。

 また環境破壊に家族分断まで招く原発事故の深刻さを経験中に、原発再稼働促進へ舵取りしている政府と官僚に対し「アメリカやヨーロッパでは原子力産業は衰退産業になっている。フランスの原子力企業アレバも破産状態。経産省は日本の将来を考えれば原発回帰でなく、再エネ産業支援に舵をきるべき。安倍総理の周りを固めている経産官僚は先がみえていない」と方向転換を図るよう、苦言を呈している。(編集担当:森高龍二)