中国人民銀行の易綱副総裁は記者会見で「切り下げは一時的な措置」「乖離の是正は基本的に終えた」「人民元は比較的強い通貨。徐々に安定する」「下落する土台はなく将来は人民元高トレンドに戻る」などと発言した。それで警戒感が薄らいだのか昼休み中の日経平均先物は20500円台に乗せ、現物指数も後場20540円と上げ幅拡大で再開する。TOPIXもプラスにタッチ。雨降って地固まるでインバウンド関連銘柄も買い戻された。午後0時32分には20576円まで上昇し、そこから徐々に下落するが20500円台はほぼキープ。前日と違い後場は安定した値動きだが、TOPIXは日経新聞で「自己資本規制強化に備えて新型社債3兆円発行」と報じられたメガバンクが足を引っ張ってほとんどの時間帯がマイナス。しかし2時前にTOPIXがプラスに浮上すると、2時ちょうどに日経平均も20600円にタッチした。マイナスに沈んでいた上海も午後の再開後はプラスにタッチし、日経平均は2時25分に20633円の高値をとるが、20600円台には定着できない。終盤いったん下押した後、大引けにかけて上昇したが20600円には一歩及ばず、終値は202円高の20595円で3日ぶりに反発した。日中値幅は326円。TOPIXは2時台はプラスにほぼ定着して終了した。チャイナリスクの震源地、上海総合指数も1.75%上昇し3日ぶりに反発して終えていた。
日経平均終値は202.78円高の20595.55円、TOPIX終値は+2.20の1667.95。売買高は24億株、売買代金は2兆8890億円で、88営業日連続2兆円以上。値上がり銘柄数830よりも値下がり銘柄数927のほうが多い。22業種がプラスで上位は電気・ガス、倉庫、医薬品、海運、小売、鉱業など。サービス1業種がプラスマイナスゼロ。10業種がマイナスで下位は銀行、証券、情報・通信、ゴム製品、輸送用機器、その他金融などだった。
14日の日経平均は反落。「人民元ショック」も地球3周目になると〃耐性〃がついたのかヨーロッパ市場は上昇。NYダウは午前中は新規失業保険申請件数の悪化などもありマイナスだったが、午後はプラスに浮上。7月の小売売上高は+0.6%で市場予測より良く、5月、6月の数値も上方修正された。しかし終盤に失速して5.74ドル高の小幅反発にとどまった。NASDAQ、S&P500はマイナス。ウォールストリートジャーナルが「エコノミストの82%が利上げは9月と予想」という記事を配信したが、調査時期が雇用統計発表の後、中国の3日連続人民元切り下げの前なので、割り引いて読む必要がある。アメリカ長期金利は上昇し、原油先物は42ドル台まで下落。金先物は反落してリスクオフムードが緩和した。為替のドル円は124円台半ば、ユーロ円は138円台後半。CME先物清算値は20580円だった。
マイナーSQ算出日の日経平均は77円安の20518円で始まる。TOPIXもマイナスでスタート。午前9時3分に8月のSQ値が早々と出て20540.36円。アッと言う間に「まぼろしのSQ」ではなくなった。9時4分の高値20552円と、25日移動平均の20486円に接した9時9分の安値20484円の間での値動きが続く。10時を回って10時15分、前日まで3日連続で中国人民銀行の人民元切り下げ発表でまがまがしい急落に見舞われた、真っ昼間なのに「逢魔が時」を緊張感の中で迎える。しかし基準値は逆に0.05%の人民元高で日経平均は高値を更新。急伸してTOPIXとともにプラスに浮上し、20600円も突破して10時20分に20605円まで上昇した。その後は前日終値20595円付近でもみあい。上海市場の序盤はおおむねプラスで推移していた。しかし、TOPIXをプラス圏に置いたまま11時前から日経平均は徐々に下げ幅を拡大し20540円付近まで下落する。それでも前日まで3日間の前場の乱気流に比べれば全然カワイイ規模。TOPIXはマイナスに落ちた後でプラスに再浮上。前引けは38円安の20557円で〃平和な〃前場を終えた。
後場は下げ幅を拡大して再開し20500円を割り込む。上海市場の午前の取引はプラスで終えていたが、この日はSQ日でも「利益確定売りの金曜日」。週が明けた17日の取引時間前には4~6月期GDP速報値発表という数値次第で大幅安スタートもありうるイベントが控えているため、週末に手じまい売りが多く出てもおかしくない。日経平均は20500円前後の水準で小動きする。1時台後半から水準を切り上げ20500円台前半で動くが、プラスにはなかなか戻れない。終盤は20520~20550円の範囲で小動きになり、TOPIXもマイナスのまま。大引けでは下押しされて終値は76円安の20519円と、朝に出た8月のSQ値20540円を上回れなかった。上海は小幅プラスで終えていた。
日経平均終値は76.10円安の20519.45円、TOPIX終値は-3.49の1664.46。SQ日でありながらお盆なので売買高は20億株まで減ったが、売買代金は2兆4043億円で記録更新継続。値上がり銘柄数は827、値下がり銘柄数は941。上昇セクターは9業種で、上位はパルプ・紙、不動産、空運、精密機器、水産・農林、小売など。下落セクターは24業種で、下位は鉄鋼、鉱業、石油・石炭、機械、海運、証券などだった。
今週の星取は2勝3敗。前週末7日の終値20724.56円から205.11円下落して、中国人民銀行が通貨政策で世界のマーケットをかく乱、震撼させた激動の今週の取引を終えた。(編集担当:寺尾淳)