コールセンター満足度調査から見えてくること

2015年08月19日 08:26

 顧客満足度に関する調査の機関のJ.D. パワーは、2015年コールセンター満足度調査の結果を発表した。

 これは、企業のコールセンターに問い合わせをした消費者を対象に、コールセンターに対する満足度を調べたものだ。2015年3月にインターネット調査を実施し、12,899人から回答を得ている。今回調査対象となった業界は、パソコン関連メーカー・家電・電気製品メーカー、インターネットサービスプロバイダー、銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、クレジットカード会社、携帯電話事業者、自動車メーカーである

 満足度の測定にあたっては、コールセンター利用時に経験する領域(=ファクター)を予め設定し、各ファクターに関連する詳細項目への評価を基に1,000点満点で算出している。各ファクターが総合満足度に与える影響度は、「担当者/オペレーター」(67%)、「自動音声案内」(33%)であった。(カッコ内は影響度)。

 その結果、総合満足度は損害保険会社が4年連続トップ獲得したが、他業界が僅差で追随していることがわかった。

 評価対象となった業界の中で最も総合満足度が高かったのは2012年の調査開始から4年連続で損害保険会社だ。また今回も、順位の入れ替わりはあったものの、総合満足度評価対象9業界の上位4位を前回に引き続き、損害保険会社、生命保険会社、証券会社、銀行の金融4業界が独占する結果となった。

 損害保険会社が今まで総合満足度でトップ評価であった大きな要因はそのオペレーター対応のレベルの高さにあり、過去3回の調査ではファクター別満足度の「担当者/オペレーター」の満足度で2位に10ポイント前後の差をつけてトップだったが、今回初めて生命保険会社に「担当者/オペレーター」の満足度のトップ評価を譲る結果となった。

 損害保険会社の「担当者/オペレーター」の満足度は生命保険会社に2ポイントしか差がなく、ハイレベルであることには変わりはないが、金融4業界の「担当者/オペレーター」の満足度は4業界中一番評価の高い生命保険会社と一番低い証券会社とで1,000点満点中7ポイント差という僅差まで来ており、金融業界全体のオペレーター対応のレベルが向上してきたと考えていいだろう。

 因に、最下位は携帯電話事業者だった。これは、筆者としてはなんとなくうなずける気がする。というのも、筆者は過去に携帯電話事業者の数度コールセンターに問い合わせをした時の対応に首をかしげた経験があるからだ。

 満足度水準が高くなればなるほどロイヤルティが高くなり、低くなればなるほどロイヤルティは顕著に下がることがこの調査ではわかっており、コールセンターの満足度如何によって、既存顧客維持、新規顧客の獲得に貢献することが可能である一方、既存顧客を離反させる可能性がうかがえる。

 このことからコールセンターは、もはや企業にとってのコストセンターではなく、売上を左右する重要なチャネルの1つと位置付けて、コールセンター満足度の向上・改善に積極的に取り組む必要がありそうだ。(編集担当:久保田雄城)