朝日新聞が23日付けの社説で「自民と教科書、政治は採択に関わるな」と自民党の議員連盟が社会科の各社の教科書を比べるパンフレットを作り、全国の地方議員あてに配ったことに、国歌・国旗、集団的自衛権、憲法改正、南京事件、慰安婦問題などでの部分での比較が行われている内容から、安倍首相の考えに近い教科書採択への働きかけにつながらないよう、釘を刺した。
自民党議連の行為がこれに当たるとは直接的にしていないが「政党が自らの主張に近い教科書を選ぶよう、働きかける行為は慎むべきだろう」とソフトに注意を促した。
社説では「地方議員は教育委員の人事に同意を与える存在だ。行為が圧力と受け止められないよう自重してほしい」と要請している。また「教科書は、政党の主張を教え込む道具ではない」と民主主義教育で厳守すべき当然のことを改めて主張している。主張しなければならない危惧すべき状況が生じているということの裏返しである。
社説では「教育委員会の制度改革で、各自治体ではこの春から首長が総合教育会議を設け、教育委員会と協議することになっている。文部科学省は教科書採択については、この会議の議題にすべきではないとした。教科書採択は政治的中立性が強く求められると考えているからだ」と教科書採択が政治介入や政治的意図で歪められてはならないことの重要性を強調している。これも当然のことだ。
教科書の採択は今月末まで。教育委員には政党や議員の言動は他の材料とともに、ひとつの参考に留め、こどもたちの教科書としてふさわしいものを、責任を持って、自らの視点で、中立公正に判断することが強く求められている。少なくとも、なぜ、これを採択したのか、自身で明確に説明できるものでなければならない。(編集担当:森高龍二)