日本百貨店協会が公表した7月の売上高は5612億円で、前年同月を3.4%上回った。売上高が前年を上回るのは4ヶ月連続。昨年は消費増税の影響で売上が低迷したため、今年は前年実績をクリアしやすいともいえる。が、インバウンド需要や富裕層の消費意欲が回復していることから、明るい兆しも見えている。
7月上旬までは全国的に天候不順が続いたが、中旬以降は天候が回復。夏物のセール時期を遅らせた店舗も多く、全体的に売上は好調だった。地区別では、シェアの高い東京(+7.2%)、大阪(+6.2%)、名古屋(+6.2%)の3大都市が売上を牽引。都市部では他にも神戸(+4.7%)、福岡(+5.9%)、横浜(+3.5%)などが好調だった。
一方、地方店は回復が遅れている。10都市以外の売上高は、北海道が-2.9%、東北が-1.6%、関東が-1.1%など、多くのエリアで前年実績を下回った。消費増税の影響で売上がふるわなかった前年を、さらに下回る地方百貨店が目立つ。都市部の売上高が4ヶ月連続でプラスだったのに対し、地方は2ヶ月連続でマイナスだった。都市部との「格差」は、ますます広がる一方だ。
大都市の百貨店は、消費浴が旺盛な外国人観光客の恩恵を受けやすい。訪日外国人の動向をみると、中華圏や東南アジアからの観光客を中心に、購買客数は185.1%増、売上高も248.7%増で、4月に続き単月で過去2番目の実績(約185億円)を記録している。インバウンド需要は絶好調で、その売上の多くは都市部に集中しているようだ。
商品別にみても、14年10月に免税対象となった「化粧品」が+18.4%、高級宝石など「美術・宝飾・貴金属」が+22.3%と、好調だった。売上の約3割を占める「衣料品」も、夏物セール時期の見直しや、7月後半から気温が上がったことなどから2.8%増。紳士服はプラス1.7%、婦人服は同2.6%、子供服はなんと10.3%も増えた。
お中元商戦についても、各社が早期展開やネットでの販売強化、新商材を投入するなどの販促に出た結果、順調に前半を折り返したようだ。菓子(+0.6%)、惣菜(+0.3%)も健闘し、全体を下支えした。(編集担当:北条かや)