長く低迷していた百貨店の売上高が、回復しつつある。日本百貨店協会によると、6月の売上高は4879億円あまりで、前年同月を0.4%上回った。売上高は3ヶ月連続でプラスとなり、消費増税後の反動減で低迷していた百貨店業界は、回復基調にあるようだ。駆け込み需要の反動が大きかった昨(2014)年6月の売上高は、前年比マイナス4.6%だった。以降、長らく前年実績を割り込む状態が続いていたが、今(2015)年に入ってからは、昨年の落ち込みが大きい分、回復が目に見えやすい形となっている。
富裕層の多い都市部や、外国人観光客の恩恵を受けやすい東京、大阪などの店舗が売上高を牽引した。都市別の売上高をみると、売上高が最も多い東京(前年同月比+5.9%)、大阪(+3.2%)が全体を引き上げている。東京の百貨店は、前年比較で降水量が少なかったことや、各社の来店促進策などが功を奏した。仙台(+1.3%)もプラスを記録する一方、横浜(-0.1%)、福岡(-0.3%)も前年に迫るなど、大都市圏は堅調だ。一方、地方百貨店は相対的に厳しい。北海道エリアは前年同月比-5.9%、中部エリアは-4.2%、近畿エリアも-4.3%と、都市部に比べて回復が遅れている。
商品別にみると、昨年10月に免税対象となった「化粧品」が+21.3%、宝石などの「美術・宝飾・貴金属」が+27.9%が引き続き好調だ。菓子(+0.6%)、惣菜(+0.3%)も健闘し、ともに全体を下支えした。お中元商戦についても、各社が早期展開、ネットでの販売強化、新商材を投入するなどの販促に出た結果、順調に前半を折り返したようだ。
インバウンド消費も引き続き、好調。訪日外国人観光客による売上高は、中国の休暇(端午節、6月20日~22日)に家族連れの来日が増えたことに加え、ASEAN諸国からの来店客も増加し、購買客数は前年同月比276.5%増、売上高伸率も前月に続き、プラス307.1%で過去最高を更新するなど、勢いづいている。東京の百貨店では、化粧品や宝飾品などに加え、「洋酒」や「漆器」、「南部鉄器」などが外国人観光客に人気という。(編集担当:北条かや)