お中元シーズンを迎え、百貨店では付加価値を高めた高品質なギフトが並ぶ。矢野経済研究所が先日、公表した「ギフト市場に関する調査結果2014」によると、13年度のギフト市場規模(小売金額ベース)は前年度比100.9%の17兆4,500億円。昨今のギフトは「品質重視」の傾向が強く、高価格帯の商品が市場を牽引した。当面はこうした傾向が続くものと見られ、14年度のギフト市場規模は前年度比100.6%の17兆5,500億円を見込む。
ここ数年、消費者の趣味・嗜好は多様化し、ギフトの「定番」がなくなりつつあるという。かつては季節の儀礼的な意味合いが強かった「中元・歳暮」も、今や各社が注力する「季節限定品」が販売されるイベントとなり、カジュアル化。中元・歳暮の儀礼的な意味合いは薄れ、親しい人へのプレゼントとして贈るなど、「儀礼」から「季節のイベント」に変わりつつある。
一方、百貨店がショッピングセンター化し、ホームセンターやドラッグストア、家電量販店が大型雑貨店化するなど、「小売業態の枠がなくなってきている」。こうした変化はギフト市場にも影響を与え、ネット通販や実店舗を含む小売業はすべて「ギフト好適品」を取り扱う業種として競合するようになった。インバウンド消費をみても、外国人観光客は百貨店や駅ビル、食品スーパーやコンビニエンスストアなど、幅広い店舗で「日本土産」を購入している。ギフト市場において、もはや競合は「同業他社」ではなく「小売市場全体」になったといえるだろう。
こうした状況から、付加価値を高めた独自開発の商品が人気になるなど、新たな動きもある。母の日、父の日や、親世代の誕生日のギフトは、単価が上昇傾向。背景には、団塊世代がシニアとなり、その子供たち(団塊ジュニア世代)も年代が上がっていることから、贈り物の単価が高くなっていることも関係している。モノだけでなく、宿泊や食事等の高額体験型ギフトが選ばれる機会も増加傾向だ。盛り上がるギフト市場について、矢野経済研究所では15年度の市場規模を前年度比100.9%の17兆7,000億円と予測している。(編集担当:北条かや)