富士経済の調査によると、2011年のLED照明国内市場は震災後の節電対策として需要が急伸し、前年比2.6倍の2212億円、住宅の主照明「シーリングライト」は200億円と前年比66.7倍もの規模になっている。近時は置き換えが進み、メーカーによる新商品の展開も一定の落ち着きを見せているが、未だに多くのメーカーが細かな需要に応えるためのラインナップ拡充を進めている。
東芝ライテックは、「E-CORE(イー・コア)」LED電球シリーズに、白熱電球や電球形蛍光ランプに近い光の広がりを実現したLED電球「一般電球形8.8W」2機種をラインアップ、5月25日から発売すると発表。白熱電球や電球形蛍光ランプに近い光の広がりを実現したLED電球として、白熱電球40W形相当の明るさの「一般電球形7.7W」と、白熱電球60W形相当の明るさの「一般電球形10.6W」の2品種の中間の明るさであり、より細かな需要に応えるものとなっている。
また、日立アプライアンスは、「ダイレクト照射方式」など独自の大光量技術により、畳数毎の基準内で最大限の明るさを実現するとともに、光の色と明るさを組み合わせて生活空間を演出する「あかりセレクト」機能を搭載した住宅用照明器具「角形LEDシーリングライト」10機種を6月15日から発売。自動調光によりあらかじめ設定した好みの部屋の明るさを保つ「[eco]これっきり」機能を4機種に継続搭載。また、使っている状態から約15%消費電力をおさえる「節電ボタン」機能も6機種に搭載している。
このように商品ラインナップが充実する一方、低価格化も進行している。先の富士経済の調査によると、特にLED電球の価格下落は早く、2012年は377億円であった市場が2020年には301億円にまで下落すると予測されている。こうした中、6月14日、消費者庁は、一般照明用電球形LEDランプを販売する事業者12社に対し、景品表示法の規定に基づき措置命令を行ったと発表。エディオンやオーム電機などが発売するLED電球には、白熱電球の「60ワット相当」や「40ワット相当」などと表示されていたが、実際には、用途によっては表示の31から87%の光量しかなかったという。
昨年以降の爆発的な普及とともに、多くの企業がLED照明国内市場に参入している。結果、低価格化が進み商品ラインナップが充実することで、より普及が進んだと言えるであろう。一方で、前述措置命令のような事態も発生している。市場が成熟するにつれ、今後は、企業によるコンプライアンスの徹底だけでなく、「安物買いの銭失い」とならぬよう消費者側の意識も変えて行く必要があるということではないだろうか。