2015年上半期(1~6月)の世界販売台数ではドイツのフォルクスワーゲン(VW)に首位の座を譲り渡していたトヨタ自動車<7203>だが、1~7月の販売台数ではフォルクスワーゲンを追い抜き再び首位に躍り出た。28日にトヨタ自動車が発表したグループの世界販売台数(ダイハツ工業<7262>、日野自動車<7205>を含む)は前年同期比1.5%ダウンの586万5000台であり、フォルクスワーゲンの前年同期比1.0%ダウンの約583万台を約3万台上回った。中国の景気後退によりフォルクスワーゲンの7月の販売台数が大きく低迷したことが影響したものとみられる。
最大の市場である中国でのトヨタの販売台数は、前年同期比11.9%アップの60万台と好調に推移した。その一方で、フォルクスワーゲンは前年同期比5.3%ダウンの199万台を不調に終わった。この中国市場での大きな差がそのまま全体にも影響し、結果、トヨタ自動車がフォルクスワーゲンを追い抜く形となった。今年の上半期には、フォルクスワーゲンがトヨタ自動車に対して2万台の差をつけて、初めて首位となっていた。
こうして再び首位となったトヨタ自動車だが、その先に待ち受けているのは明るい材料ばかりではない。トヨタ自動車、そしてフォルクスワーゲンともに世界販売台数は前年を下回り続けており、両社ともに14年に続く1000万台超えは確実なものではない。さらに8月には中国の天津市の爆発事故の影響により、トヨタ自動車は同市内の主力工場が一時停止。17日から実施された工場の稼働停止を26日にまで延長させた。さらにはこの爆発事故により、トヨタ自動車の完成車約4700台に被害がおよんだ。そしてフォルクスワーゲンも、爆発事故により約2700台に被害がおよんでいる。こうしてともに懸念材料はある。今回はトヨタ自動車が首位となり、さらには14年まで3年連続で同社が世界一の座を守り続けてきたが、今後の動き次第では、どちらが15年の首位となるかはまだまだわからない状態であり、トヨタ自動車も決して安泰というわけではない。(編集担当:滝川幸平)