大阪府立大学とシャープが、タブレット端末を活用した電子教科書の実証実験を5月より試験的に導入、6月から本格的に開始したと発表。合計90名を対象に11月まで実施する。
今回の実証実験は、大学の先進的教育・学習環境の構築に向けた共同事業の一環として、臨床実習の際に多くの教科書・参考書籍を持ち歩く必要のある大阪府立大学総合リハビリテーション学部の4年次生を対象に実施。対象書籍は理学療法学専攻教科書9冊(2社)、作業療法学専攻教科書15冊(3社)、栄養療法学専攻教科書12冊(4社)に加え、各学科作成の「実習の手引き」、日本食品標準成分表2010 文部科学省のHP公表参考資料、日本人の食事摂取基準(2010年版)厚生労働省のHP公表参考資料などで、これらの教科書・参考書を電子化して収録したシャープ製のタブレット端末を学生に貸与し、臨床実習において活用するという。
実証実験では、教科書の閲覧したい頁をすばやく表示したり、重要な箇所にマーカーやしおりを挿入できるなど、電子教科書ならではの特徴を体験すると同時に、活用における問題点なども検証し、今後の取り組みに向けてあらゆる可能性を検討。結果は、日本総合研究所が主催し、大阪府立大学・シャープ・出版社・流通事業者などの異業種で構成される「スマートキャンパスライフ研究会」で集約し、課題検討を行う。
矢野経済研究所によると、2011年度の市場規模が723億円と予想される電子書籍市場は、2014年には1197億円、2015年には1500億円と予測されるなど、市場拡大が著しい。教科書についても、2015年までに全ての小中学生がデジタル教科書・教材を持つ環境を実現すべくデジタル教科書教材協議会が設立されるなど、普及に向けた地盤作りが進んでいる。小中学生だけでなく、書籍の持ち歩きが多い学生にとって電子書籍は、そのメリットを体感しやすいものであろう。今回の実証実験は、マーケティングや販売促進活動といった要素の強いものと言えるのかもしれない。