少子化を背景に、学習塾業界が悲鳴を上げている……と思いきや、主要法人の業績はいまだ好調のようだ。帝国データバンクによると昨年、大幅な校舎の集約を行なった「代々木ゼミナール」を運営する学校法人「高宮学園」が、業界の中で総資産額トップを維持していることが分かった。調査は全国の主要な学習塾・予備校34法人(14年度の年収入高が50億円を超えていると判明したもの)について、業績推移などを調べたもの。
14年度の「国内主要の学習塾・予備校」の収入高合計は、約4092億だった。前年度比0.5%増とほぼ横ばいだ。しかし、ここ数年の推移をみると、12年度は5.3%増、13年度は3.1%増だったのに対し、14年度は0.5%増と、やや成長は鈍化している。
14年度に収入が増えた法人は、34法人のうち19法で構成比55.9%、そのうち「3期連続増収」は15法人(同44.1%)、「2期連続増収」が3法人(同8.8%)だった。一方、前年度比でマイナスだったのは15法人(同44.1%)で、そのうち「3期連続減収」と不調なのは6法人(構成比17.6%)、「2期連続減収」は3法人(同8.8%)。また、34社のうち「3期連続黒字」「2期連続黒字」だった企業の割合は84.4%で、多くが好調だ。少子化を背景に12年度以降、学習塾・予備校業界の収入高増加率が鈍化しているのは事実だが、全体としては何とか黒字を維持している。
国内4大予備校である「代ゼミ(学校法人高宮学園)」「河合塾(同河合塾)」「駿台予備学校(同駿河台学園)」「東進ハイスクール(株式会社ナガセ)」の資産総額をみると、15年3月期末時点では「代ゼミ」の高宮学園が約4260億円と、他の3法人を大きく引き離した。代ゼミは昨年、業績の不調が報じられたが、主要4法人の中では資産額トップを維持している。しかし、代ゼミの資産額は14年3月期末比で約146億円のマイナス、10年3月期末と比べた結果では約357億円のマイナスで、「河合塾」とともに減少傾向だ。一方、「駿台予備学校」を運営する(学)駿河台学園と「東進ハイスクール」を運営する(株)ナガセは好調。資産額は10年以降、それぞれ約200億、約50億も増加している。
学習塾業界では、栄光ホールディングスとウィザス、市進ホールディングスと学究社が業務提携、ナガセ、サマデイなどによる早稲田塾の子会社化など、再編の動きが活発化している。今後の動向に注目だ。(編集担当:北条かや)