8月に発生した中国経済を起点とする世界同時株安により、東京市場でも株価が大幅に下落し円安が進行したことなどが影響して、投資信託協会が11日に発表した公募投資信託の8月の動向によれば、運用損失が5兆6718億円にまで膨らんだことがわかった。これで3ヶ月連続の減少となる。7月の運用損失は3218億円であった。運用損失5兆6718億円というのは、リーマン・ショック発生直後の2008年10月の10兆3181億円以来、約7年ぶりの高水準である。
世界同時株安の進行の影響により、8月は日経平均株価も約1700円下落。円相場も対ドルで上昇し、国内外の株式などで運用する投信の時価が下がった。そして8月の公募投資信託の純資産総額(残高)も前年末比4兆8181億円減少の96兆6387億円であり、4ヶ月ぶりに100兆円を割り込むこととなった。そして減少幅は、10年5月3ヶ月以来の高水準であった。ただし、設定額は8兆6774億円、解約額は7兆7902億円、償還額は335億円であり、設定から解約・償還を引いた差引きは8537億円の資金純増となった。流入超はこれで26ヶ月連続のこととなる。
そして8月の株式投信の純資産総額は前月末比4兆1940億円減少の80兆975億円であり、2ヶ月ぶりの減少となった。設定額は4兆226億円、解約額は2兆5114億円、解約率は3.0%、償還額は335億円であり、設定から解約・償還を引いた差引きは1兆4778億円の資金純増となった。流入超はこれで9ヶ月連続のこととなる。
公社債投信の純資産総額は前月末比6241億円減少の16兆5412億円と、3ヶ月連続の減少となった。設定額は4兆6548億円、解約額は5兆2788億円、償還額は0円で、設定から解約・償還を引いた差引きは6240億円の資金純減となった。流出超はこれで3ヶ月連続のこととなる。
株価の影響により公募投資信託の減少幅はリーマン・ショック以来の大きなものとなったが、その一方で、個人投資家などによる投資信託へのマネー流出は続いており、26ヶ月連続での資金純増となっている。また、個人が運用を一任するラップ口座を経由した資金も流入を下支えしているという。(編集担当:滝川幸平)