日本の自動車メーカー、スズキ<7269>とドイツのフォルクスワーゲン(VW)は2009年に資本・業務提携を行っていたが、その後、両社間の関係性が悪化したために、スズキは11年に提携解消を求めて国際仲裁裁判所に提訴していた。そして今年の8月、フォルクスワーゲンに対して、保有するスズキの株式の売却を命じる判断が出されていた。そして17日、スズキはフォルクスワーゲンが保有するスズキの発行済み株式の19.9%をすべて買い戻したとの発表を行った。これにより、両社間の提携は解消されることとなった。
フォルクスワーゲンはスズキの発行済み株式を1億1161万株保有していたが、提携解消を求めていたスズキがこれをすべて買い戻した。スズキは14年12月に、提携解消に備えて自社株取得枠の設定を発表していたが、16日の取締役会で具体的な取得方法を決議し、1億1221万株としていた上限を引き上げた。そして17日の朝、東京証券取引所の立会外取引で、他の株主の応募分を含む1億1978万7000株の買い付けを行った。株式の取得にかかった金額は約4602億円となっている。そうして買い戻した株式を売却するか、消却するかは未定としており、今後対応が決定される。
スズキとフォルクスワーゲンは、環境性能に優れた小型車の共同開発など、技術開発や生産面での協力を期待して09年に資本・業務提携を行った。しかしその後、両社間の関係性が悪化したために、スズキ側が国際仲裁裁判所に提携解消を求める申し立てを行っていた。フォルクスワーゲンはスズキと資本・業務提携を行う際に、約2200億円で株式を取得していたが、今回スズキが株式を買い戻すのにかかった費用は約4602億円であり、約2倍の費用がかかったことになる。
スズキは今回の株式買い戻しを発表するに際して、16年3月期の連結業績予測についても触れており、現時点では業績予想を修正する必要を見込んではいないが、今後開示すべき事項が発生した場合には、速やかに開示するとしている。(編集担当:滝川幸平)