来春卒業予定で就職を希望する高校生の求人倍率が、リーマンショック直前の水準にまで回復している。建設業や製造業のほか、小売業でも求人が増加しており、人手不足が顕在化している。今回、高校生の求人倍率を発表した厚生労働省は、「今後、若い人材をどう確保するかが課題」としている。
18日、厚生労働省は来年春に就職を希望する高校生の求人・求職状況(7月末時点)を発表。それによれば、就職希望の高校生1人に何件の求人があるかを示す求人倍率は、7月末の現在で1.54倍であったと発表した。前年同期よりも0.26ポイント増加した。これで5年連続の増加となる。厚生労働省はこの結果に関して、景気回復と人手不足により、企業の人材確保への意欲が旺盛になっているとの見方を示している。
全国の求人数は前年同期比19.9%アップの28万5961人であったのに対して、求職者は前年同期比0.2%ダウンの18万6055人であった。求職者の減少には少子化が影響している。求人の内訳を見てみると、製造業が最も高く前年同期比20.4%アップの9万638人、そして卸売業・小売業が前年同期比26.0%アップの3万4989人と、ほとんどの産業がプラスとなった。その結果、求職者1人あたりの求人数を示す求人倍率は1.54倍と、前年同期よりも0.26ポイント増加した。これはリーマンショック前の雇用情勢が悪化する前の2008年の1.31倍を超え、1994年の1.98倍に次ぐ水準となった。
都道府県別に求人倍率(地域外からの求人は除く)を見てみると、東京都は最も高い4.45倍で、大阪府は2.47倍、愛知県は2.25倍、兵庫は1.36倍。都市圏が高かったのに対して、沖縄県は0.7倍で全都道府県中、最も低かった。そのほか青森県は0.78倍と、地方の8件が1倍を下回ることとなった。ただし、全都道府県で前年同期を上回り、39都道府県で1倍を上回った。
16年3月に卒業する高校生への企業の採用活動は、今月16日に解禁された。なお、16年3月卒業予定の中学生の求人倍率は、0.73倍であり前年同期よりも0.32ポイント増加した。(編集担当:滝川幸平)