28日に厚生労働省が7月の有効求人倍率(季節調整値)を発表。それによれば、前月よりも0.02ポイント上昇して1.21倍という結果であり、1992年2月以来、23年5ヶ月ぶりの高水準であった。有効求人倍率は、仕事を求めている人1人に対し、企業から何人の求人があるかを示すもので、企業の収益改善などにより求人が増えたことが影響したものとみられている。
7月の有効求人数は前月比1.5%アップの233万4354人、その一方で有効求職者数は前月比0.2%ダウンの200万2174人であった。こうしたことから、求職者にとっては仕事を見つけやすい状況が続いている。現行の賃金水準で働きたい人がすべて職を得る、「完全雇用」の状態に近いとされる。しかしその一方で、企業の人手不足感は今後も強まりそうな気配だ。雇用の先行指標とされる新規求人数は前年同月比4.3%であり、業種別に見てみると「宿泊・飲食サービス業」が前年同月比10.3%アップ、訪日外国人旅行者の増加が寄与した。そのほか、「医療、福祉」が前年同月比8.7%アップ、「生活関連サービス業・娯楽業」が7.4%アップ、「卸売・小売業」は前年同月比4.7%アップ、「製造業」は前年同月比3.3%アップという結果であった。その一方で、「情報通信業」は前年同月比2.5%ダウンという結果であった。
都道府県別に見てみると、東京都が1.76倍と最も高く、次いで福井県が1.65倍、岐阜県が1.56倍という結果であった。最も低かったのは埼玉県と沖縄県で0.84倍であり、次いで鹿児島県が0.86倍、佐賀県が0.92倍となっている。
そして同日には総務省が7月の完全失業率(季節調整値)を発表。それによれば、前月比0.1ポイント低下して3.3%という結果であり、3ヶ月ぶりに改善した。総務省は今回の結果について、倒産や人員整理などによる離職が減少したと分析し、厚生労働省は雇用情勢の判断を「着実に改善が進んでいる」と1年半ぶりに上方修正した。
7月の完全失業者数(季節調整値)は220万人で、前月よりも2万人減少した。このうち倒産や雇い止めなど会社都合により離職は61万人で、前月よりも3万人減った。比較可能な02年以降で最低となった。(編集担当:滝川幸平)