最近では新築のマンションや一戸建てを購入するのではなく、中古の物件を購入してリフォーム・リノベーションする人が若い世代を中心に増加しているという。かく言う筆者も去年、リノベーションする前提で中古の分譲マンションを購入したのだが、この方法であればある程度、費用を抑えた形で物件を購入することができた(ただし、リノベーションにいくら費やすかによって、費用の程度が大きく変動するという側面もあるが)。このように、今や「家を新築する」ことだけが住まいの最終目標ではなくなったわけだが、国土交通省が発表した新設住宅着工戸数を見てみると、新築住宅の戸数も伸びていることがわかる。
30日、国土交通省は8月の新設住宅着工戸数を発表。それによれば、戸数は前年同月比8.8%アップの8万255戸であり、これで6ヶ月連続でのプラスとなった。季節調整済み年率換算は93万1000戸、季節調整済み前月比は1.8%アップであった。このうち、持ち家、貸家は4ヶ月連続でのプラス、そして分譲住宅は2ヶ月ぶりのプラスとなった。分譲住宅のうち、一戸建住宅は16ヶ月ぶりのプラスであった。
消費税増税前に発生した駆け込み需要の反動減が和らいだことにより、相続税対策や資産運用の一環として活用されるアパートなどの貸家が好調に推移。前年同月比17.7%アップ、4ヶ月連続でプラスとなった。消費税増税の反動減の影響を最も強く受けた持ち家も、前年同月比4.1%アップ、4ヶ月連続でのプラスとなった。省エネ住宅ポイントなどの施策も、数値を押し上げる要因となっている。分譲住宅は前年同月比2.6%アップ、2ヶ月ぶりのプラスであった。分譲住宅のうち、分譲マンションは前年同月から横ばい、一戸建住宅は前年同月比4.6%アップ、16ヶ月ぶりのプラスであった。
社会情勢の変容とともに、持ち家や分譲マンションなどに対する考え方も変わってきている。なかには、一生賃貸物件で生活し続ける人もいることだろう。あくまでそれらは、個々人のライフスタイルの問題であり、「家を建てる」ことだけが正解ではなくなってきている。しかし、今回の結果をみる限り、まだまだ「家を建てる」ということ対して、高い価値が認められている現状をうかがい知ることができる。(編集担当:滝川幸平)