ボルボが初の米国工場を建設する理由とは

2015年10月09日 08:14

画・ボルボが初の米国工場を建設する理由とは

ボルボが1955年の米国進出以来初めての同国工場の建設が、サウスカロライナ州で始まった。これは約5億ドルを投じる予定で、1号車のラインオフは、2018年で初年度に約10万台の生産を見込んでいる。

 ボルボが1955年の米国進出以来初めての同国工場の建設が、サウスカロライナ州で始まった。これは約5億ドル(約600億円)を投じる予定で、1号車のラインオフは、2018年で初年度に約10万台の生産を見込んでいる。

 新工場の完成により、ボルボは3大陸で自動車を生産することとなる。現在、欧州で2拠点、中国で2拠点の工場が既に稼働している。米国の新工場は世界販売台数を2倍に伸ばすというボルボの中期的な事業計画の一部であり、マーケットシェアの拡大と利益率の向上を図るという。

 ボルボのホーカン・サムエルソン社長兼CEOは、「米国市場での存在感なしに、真のグローバル自動車メーカーになり得ない。今日の発表は、ボルボが米国市場にとどまることを、明確にするもの」と述べている。

 また「米国は今も世界で最もダイナミックな経済地域の一つであり、今回のボルボの投資や貢献が米国の地域経済の利益につながると強く信じています」と、米国担当上級副社長のレックス・カーセマケルス氏は述べている。

 中国の2拠点の工場の後に、米国工場を作るというのは、なんとも今の自動車業界の現実を表しているようで興味深い。中国の急激な景気失速で、どのメーカーも販売の落ち込みに苦慮しているわけだが、それを米国で補うというのが、ひとつの流れになっている。ボルボは、中国の失速を予期していたかどうかはわからないが、賢明な選択だろう。進出から半世紀を経ての米国工場の建設の理由は中国への期待が危険なものだと判断してのことだろう。

 ボルボはまた、先日、自動運転車の自動運転との切り替えを管理するための、直感的な操作が可能なドライバーインターフェース「インテリセーフ・オート・パイロット」を発表している。

 自動運転技術の出現により、ドライバーと自動車とのユーザーインターフェースは極めて重要なものとなるが、ドライバー自身による運転と自動運転との安全で切れ目のないモード切り替えが、信頼できる自動運転テクノロジーの要だが、これを実現している。

 こうした新しいテクノロジーを携えての、米国工場の建設開始は、今後のボルボの米国のみならず世界での活躍が期待できるものではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)