【今週の振り返り】ノーベル賞、TPP、上海続伸で713円上昇の週

2015年10月10日 20:37

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ノーベル賞2人受賞、TPP合意、内閣改造、「爆買い」健在に上海は続伸で再開。日銀会合が金融政策現状維持でも、物事が良い方へ、良い方へ流れていく。

 TPP交渉の合意内容は、来年初めに政府が署名した後、2年以内に国会で承認を得て関連国内法を改正するというスケジュールだが、途中に参議院選挙が入る。最後まで日本とニュージーランドがもめた乳製品の輸入は、日本は6万トンの特別輸入枠を設けて6年目に7万トンに拡大するという合意内容。しかし乳製品メーカー大手の株価はマイナスではなくプラス。農機、農薬、種苗など農業関連の銘柄は軒並み上昇していた。11時台はハンセン指数もプラス圏を守って下げ止まり、日経平均は11時2分の18221円を底に少し反発して前引けは267円高の18273円だった。TOPIXは20ポイント高。

 後場は18200円を割り込み安値を更新して再開。理由は香港ハンセン指数がさらに下げてマイナスに落ちたこと。TPP合意もノーベル賞受賞も中国不安には勝てず、8日の上海市場再開が恐ろしくなる。18150円も割り午後0時33分に18147円まで下げたところでV字回復。香港も小幅プラスに戻していた。0時台は18200円台にタッチはしても戻れない。1時20分頃から少し上昇して18200円台前半で推移する。アメリカは12年、オーストラリアや新興国は5年を主張して譲らなかった新薬の特許権保護期間は8年で決着した。ノーベル賞医学・生理学賞関連銘柄として創薬支援の新日本科学<2395>、寄生虫駆除薬品の日産化学<4021>、日本農薬<4997>などが大幅高。大村氏が発見した抗生物質「イベルメクチン」を発売するメルクの株価はNY市場で上昇したが、日本での発売元MSD(旧・萬有製薬)は2003年に上場廃止。フランスのバルス首相が来日中で、安倍首相と会談して原子力に関する協力関係推進を確認し、フランスのアレバ社に出資を検討中の三菱重工<7011>など原発関連銘柄が上昇していた。

 日経平均は1時台、一進一退しながら徐々に水準を18200円台後半に切り上げ、香港が2時にわずかなマイナスで再開しても影響されない。しかし香港がプラスに転じても2時台に入ると18200円そこそこまで下がってしまう。終盤は香港も再びマイナスになり、18200円を下回って小売銘柄を中心に3ケタ高ながらプラス幅をどんどん縮小し、安値を更新して9月SQ値の18119円も18100円も割り込んで、2時58分に18094円まで下げる。ビッグニュースの陰に隠れたが、この日は荒れるSQ週の火曜日という「鬼門」。大引け直前に香港の急落に歩調を合わせてゲリラ急落。蟻のように集まる先物裁定業者の最高のテクニックで安値引けで終焉、かと思いきや、昔のチャンバラ映画で絶体絶命のピンチに助っ人が出現したかのように突然90円以上急騰し180円高の18186円で終えた。TOPIXは結局2ケタポイント高だった。

 日経平均終値は180.61円高の18186.10円、TOPIX終値は+11.92の1475.84。売買高は24億株、売買代金は2兆3947億円と回復。値上がり銘柄数は1363、値下がり銘柄数は448。上昇セクターは28業種で上位は水産・農林、鉄鋼、倉庫、情報・通信、精密機器、鉱業など。下落セクターはゴム製品、繊維、金属製品、小売、その他金融の5業種だった。

 7日の日経平均は6日続伸。NYダウはプラスとマイナスの間で揺れながら結局13.76ドル高で3日続伸。しかしNASDAQは5日ぶり、S&P500は6日ぶりに反落した。ヨーロッパ市場は上昇しても、アメリカの貿易赤字は前月比15.6%拡大。IMFの2015年の世界経済見通しは7月発表から0.2ポイント下方修正され3.1%。2016年見通しも0.2ポイント下方修正と、世界景気の悪化懸念が上値を抑える。原油先物はOPEC幹部が反発する見通しを語り3日続伸。金先物も3日続伸。為替のドル円は120円台前半で前日よりドル安円高。ユーロ円は135円台半ばでユーロ高。CME先物清算値は18170円だった。

 連日の明るいニュース。ノーベル物理学賞を東京大学教授で東大宇宙線研究所所長の梶田隆章氏が受賞した。専門は素粒子ニュートリノの研究。日本生まれの受賞者はこれで24人目。この日は日銀会合の結果発表、景気動向指数速報値発表、内閣改造、黒田総裁の記者会見、郵政3社の仮条件決定とイベントが目白押しで、ノーベル賞は化学賞の発表。日経平均は円高を背景に17円安の18168円で始まった。TOPIXはプラスでスタート。午前9時1分に18137円の安値をつけた後、急反発して10分足らずでプラスに浮上。9時11分に18211円まで上がるが、その後は18210円付近と前日終値付近の間でもみあう。

 ノーベル物理学賞関連でニュートリノを観測する「スーパーカミオカンデ」でおなじみの浜松ホトニクス<6965>は、プラスで始まるがストップ高までいかない。13年前の2002年に小柴昌俊東大名誉教授が物理学賞を受賞した時はもっと派手に買われた。プラズマ用高周波電源装置世界第3位で研究機関にも納めているアドテックプラズマテクノロジー<6668>は、東証2部の小型株なので買い気配値がどんどん切り上がり、9時28分にストップ高で寄り付いた。

 日経平均は9時台後半はマイナス圏に落ちる。5、6日に上昇したTPP関連銘柄も利益確定売りが入るが、それでもTOPIXはプラスを維持し指数プレイの要素が大きい。「NTねじれ現象」は10時30分すぎまで続くが、香港市場がプラスで始まると日経平均もプラスに再浮上し10時41分に18213円の高値を取る。だが長続きせず11時台になると再びマイナスになる。香港ハンセン指数は上昇幅を拡大し、為替も変化がないのにズルズル下げる。大きなニュースとイベント続きで忘れてしまいそうだが、この日は本来の「鬼門」SQ週の水曜日で裁定売りが入りやすい。11時22分に18129円まで下落し、前引けは30円安の18155円。しかしTOPIXはプラスだった。

 黒田バズーカ第3弾か、ETF買入枠の手直し程度の「プチ緩和」か、それとも現状維持か。注目の日銀金融政策決定会合の結果が正午ちょうどに発表された。金融政策現状維持で残りが少ないETF買入枠もそのまま。直後に為替のドル円は120円割れ、日経平均先物は18000円割れで反応。「失望」の意志を数字で残す。後場の日経平均現物は下げ幅を拡大して午後0時30分、この日の安値の18043円、TOPIXもマイナスで再開するが、数分で日経平均は18100円台に、TOPIXはプラスに戻った。その後はNTねじれ現象が続き日経平均はおおむねマイナス圏の18100~18150円で推移していた。