【今週の振り返り】ノーベル賞、TPP、上海続伸で713円上昇の週

2015年10月10日 20:37

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ノーベル賞2人受賞、TPP合意、内閣改造、「爆買い」健在に上海は続伸で再開。日銀会合が金融政策現状維持でも、物事が良い方へ、良い方へ流れていく。

 5日の日経平均は4日続伸。前週末2日のNYダウは200ドル高。アメリカの9月の雇用統計の結果は、非農業部門雇用者数は市場予測の20万人増に対し14.2万人増というネガティブサプライズ。7月、8月の数値も下方修正された。失業率は市場予測と同じ5.1%でも平均時給の伸びがゼロで、イエレンFRB議長が気にする「雇用の質」が悪い。これではアメリカの10月利上げはまずなく、12月も危うく、来年にずれ込むことも考えられる。発表直後はドル売り円買いが進行し、ドル円は119円割れまで円高が急進し、NYダウは一時258ドル安まで売られたが、原油先物価格の上昇などもあり利上げ先送り観測が悲観シナリオより優勢になり、ドル円は120円付近まで戻し、NYダウは大幅プラスで反発。CME先物清算値は17870円だった。NASDAQは3日続伸、S&P500は4日続伸。セントルイス連銀のブラード総裁は年内利上げを改めて強調。朝方の為替レートはドル円が120円近辺、ユーロ円が134円半ばだった。

 日経新聞の朝刊1面には「TPP大筋合意へ」という大きな見出しが踊ったが、アトランタではいまだ交渉中で日経平均は195円高の17921円で始まる。TOPIXもプラスでスタート。開始直後に18000円の大台にタッチし、午前9時17分に18014円まで上昇する。農業関連や食品などTPP関連銘柄がフライング気味に買われていた。その後の9時台は17900円台後半で推移するが、10時台に一時17900円を割り込み10時17分に17869円の安値をつける。香港ハンセン指数は大幅なプラスで始まったが、為替が徐々に円高に進むため18000円には戻れない。11時台は17900円台半ばで動きが小さくなり、前引けは216円高の17941円だった。

 香港は大幅プラスで安定。為替は円安方向に折り返し、再び120円台に乗せた。後場の日経平均は18000円に接近して再開しタッチしてもすぐ押し戻され、午後1時台の途中まで大台がレジスタンスラインになり18000円をはさんだ動きが続く。それでも1時27分には18079円の高値をつけて、そのレベルでそのまま安定。再開した香港ハンセン指数は相変わらず大幅高。有力な日本人受賞候補者がいるノーベル医学・生理学賞の発表直前で、医薬・バイオ関連銘柄の一部に受賞を先取りするような動きが出る。TPP交渉のほうは合意に向けて最終調整中と伝えられる。2時台は水準を下げ、時々割り込んでもおおむね18000円台を維持する。終盤は18000円をはさんだ小動きで、終値は280円高の18005円と、5連休直前の9月18日以来の大台に滑り込んだ。TOPIXは日経平均とともに4日続伸した。

 日経平均終値は280.36円高の18005.49円、TOPIX終値は+19.00の1463.92。売買高は18億株で20億株に届かず、売買代金は2兆29億円でギリギリで2兆円に届く薄商い。値上がり銘柄数は1390、値下がり銘柄数は416。32業種がプラスで、上位は鉱業、卸売、医薬品、機械、石油・石炭、空運、食料品など。マイナスは倉庫1業種だけだった。

 6日の日経平均は5日続伸。週明けのNYダウは304ドルの大幅続伸。アトランタのTPP閣僚会合は大筋合意に達し、共同記者会見で拍手が巻き起こった。それを好感してかヨーロッパ市場は揃って3ケタの大幅高。アメリカの経済指標は、9月のISM非製造業景況感指数は56.9で8月より2.1ポイントも低く、市場予測の57.5も下回った。FRBの労働市場情勢指数(LMCI)もプラスマイナスゼロで市場予測の+1.4を下回った。景気減速感が製造業から非製造業にもひろがり、雇用も停滞感におおわれている。しかしTPP交渉合意はそれをカバーするポジティブなニュースで、NYダウは朝方からずっと大幅なプラスで、NASDAQは4日続伸、S&P500は5日続伸となった。原油先物はプラス、金先物は小幅続伸だった。回顧録を出版したバーナンキ前FRB議長はCPIが2%に達していないことを理由に早期利上げ慎重論を口にしたが、ボストン連銀のローゼングレン総裁は「年内利上げはありうる」とコメント。為替レートはドル円は120円台半ば、ユーロ円は134円台後半でドル高が進行。CME先物清算値は18360円だった。

 前夜、北里大学名誉教授の大村智氏がノーベル医学・生理学賞を受賞という明るいニュースが報じられた。日本出身者では23人目(3人は受賞時外国籍)。日経平均はTPP合意とダブルのご祝儀もあり25日移動平均18039円を突破し296円高の18302円と、18300円台に乗せて始まる。TOPIXは22ポイントの大幅高でスタート。午前9時台はほぼ18300円台で推移し、9時12分に18372円まで上昇する。10時前に18300円を割っても一時的だった。

 IMFが2015年の中国のGDP成長率は7%という見通しを発表。マラリア薬を開発した女性科学者トゥーユーユー氏が日本の大村氏とともにノーベル医学・生理学賞を受賞した。中国出身者は文学賞が2人(高行健氏、莫言氏)、平和賞が1人(劉暁波氏)いて今回4人目だが、自然科学系は初受賞(高行健氏の受賞時の国籍はフランス。1989年平和賞受賞のダライ・ラマ14世はインド国籍で中国出身者にはカウントされないのがふつう)。香港ハンセン指数も慶祝ムードか1.4%を超えるプラスで4日続伸で始まる。しかし香港が上げ幅を急速に圧縮したため日経平均も10時40分頃から18300円を割り込み、安値を更新して18200円台前半まで下落する。上海が休場でもそれに代わって香港と「中日連動」する。