【今週の振り返り】ノーベル賞、TPP、上海続伸で713円上昇の週

2015年10月10日 20:37

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ノーベル賞2人受賞、TPP合意、内閣改造、「爆買い」健在に上海は続伸で再開。日銀会合が金融政策現状維持でも、物事が良い方へ、良い方へ流れていく。

 9日の日経平均は大幅反発。NYダウ終値は138ドル高で5日続伸し8月19日以来の17000ドル台。NASDAQもプラス。S&P500は終値で2000台を回復した。イングランド銀行金融政策委員会の議事要旨に低金利の長期化が盛り込まれヨーロッパ市場は全面高。午前中のダウは前日終値付近でくすぶったが、「年内に利上げの条件は整いそうだが、原油安、ドル高などインフレ率の下押しリスクが存在する」というハト派的内容の9月のFOMCの議事要旨が発表されると、午後は右肩上がりに一変した。長期金利は低下し、リスクオンで金先物は5日ぶりに反落。原油先物はロシアがシリアをミサイル攻撃した影響で上昇した。クラウドが成長を続ける中、デルがストレージ大手のEMCを買収かというIT業界最大級のM&A話もNYダウ、NASDAQを後押しした。為替のドル円は120円近辺、ユーロ円は135円台前半でややユーロ高。CME先物清算値は18295円だった。

 ノーベル文学賞はベラルーシのスベトラーナ・アレクシエービッチ氏が受賞し、毎回有力候補に挙げられる村上春樹氏は今年も受賞を逃した。ファンにとっては年に一度の楽しいお祭り。創作を続ける限りチャンスはある。この日は平和賞の発表。

「マイナーSQ(オプションSQ)」の日の日経平均は140円高の18281円で始まる。TOPIXもプラス。15秒後に18300円台に乗せ、午前9時8分に18342円まで上昇する。TOPIXも1500にタッチした。前日にかんばしくない本決算を発表し朝から売り気配が続いたファーストリテイリングにようやく値がつき、9時15分に出たSQ値は18137円。このままプラスを維持して終わればSQ値がこの日の値動きの下に離れ、今後サポートラインになりやすい良い方の「まぼろしのSQ」になる。SQ値が出た後は急落して18200円を2回割り込み、9時52分に18184円の安値をつけるがプラス圏は維持。10時を回るともう一度18200円を割るが、上海市場が利益確定売りでマイナスで始まりながらもプラスに転じて急伸をみせると、日経平均も連れ高して18300円に接近。「日経平均寄与度御三家」のファーストリテイリングが足を引っ張り、SQ日なのでボラティリティが大きい。だが上海がピークアウトすると折り返し、相変わらずの「中日連動」。11時を回って上海がまた高値を更新すると再び18300円台に乗せる〃忠実さ〃。11時台は18300円を守りきれず、前引けは140円高の18282円でほぼ始値に戻った。TOPIXは1500を確保した。

 上海市場は0.7%の小幅プラスで午前の取引を終えた。後場の日経平均は18300円台に乗せて再開。午後0時台は上げ幅をさらに拡大して高値を取りながら18400円に接近。1時1分に18400円にタッチして18401円の高値をつけた。前日終値比で200円高を超える上昇。建設銘柄が軒並み高で、中国企業が東芝<6502>を買収するニュースが入って東芝の株価は大幅上昇していた。1時台は40分頃まで18300円台後半だったが、その後、1時44分に18429円の高値を取る。2時に上海市場が再開したが、上昇幅が+1%を超えて高値を更新する堅調な展開で心配なし。三連休前は特に下げがきつくなる傾向がある「利益確定売りの金曜日」だが、2時台の日経平均は一時的に19400円を割ってもすぐに復帰できる強さをみせる。しかし終盤も「中日連動」で、上海が上げ幅を少し縮めて1%を割っただけで日経平均はわずかながらも18400円割れ。だが大引け間際は18400円台に戻ってさらに上昇し、日経平均は297円高の18438円で、TOPIX、JPX日経400とともに高値引けで反発した。10月SQ値はめでたく「まぼろしのSQ」に。上海総合指数は+1.26%と続伸した。

 日経平均終値は297.50円高の18438.67円、TOPIX終値は+33.73の1515.13で1500台回復。SQ日なので売買高は25億株、売買代金は2兆9712億円と商いは多かった。値上がり銘柄数は1618、値下がり銘柄数は235。31業種がプラスで、上位は鉄鋼、非鉄金属、建設、鉱業、倉庫、パルプ・紙など。マイナスは空運、小売の2業種だった。

 今週の星取は4勝1敗。前週末2日終値17725.13円から713.54円上昇して、ノーベル賞とTPP合意と日銀会合と内閣改造と小売業の決算に彩られた今週の取引を終えた。4週間ぶりに週間騰落はプラスになった。(編集担当:寺尾淳)