【総合流通、コンビニの3~8月期決算】セブン&アイグループは、いよいよGMSの抜本的な事業再編に本腰を入れる

2015年10月15日 08:48

 ■GMS(総合小売店舗)に未来はあるのか?

 小売業の総合流通、コンビニ業界主要各社の3~8月期(中間期)決算がほぼ出揃った。

 総合流通グループは、セブン&アイHD<3382>はトータルの連結決算では営業収益0.3%減、営業利益3.1%増、純利益0.7%増と減収増益だった。イトーヨーカ堂、ヨークマート、ヨークベニマルなどスーパーストア事業分野の営業収益は2.2%増だが、営業利益は87.4%減と深刻。

 イオン<8267>はトータルの連結決算では営業収益18.7%増、営業利益66.6%増、純利益5.4%増と増収増益で、前年同期の営業減益から一転して営業増益。しかし、イオンリテール、イオン北海道、イオン九州、ダイエーが属するGMS分野は、新業態「イオンスタイル」が貢献して営業収益は2.0%増だったが、営業損益は87億円の赤字で前年同期よりも赤字幅が拡大している。

 ユニーGHD<8270>は、トータルの連結決算は営業収益1.8%増、営業利益9.9%減、最終損益は2.7億円の赤字。アピタなどGMS(総合小売業)は営業収益3.2%増、営業利益33.6%減で、全体の利益を押し下げていた。

 セブン&アイは3~8月期決算の発表と同じ10月8日に「事業構造改革」を正式発表した。最も注目されたのがイトーヨーカ堂の「下期以降実施する構造改革」の「今後改善の望めない店舗は今後5年間で40店舗閉鎖」という部分で、グループの発祥業態(1946年に「羊華堂」を東京・北千住に開店)でありながら今や業績の足を引っ張る存在になってしまったGMSのイトーヨーカ堂に、いよいよ事業再編の大ナタを振るう。

 セブン&アイもイオンもユニーも、GMSはもはや利益を出せない業態と化してしまい、事業再編は避けられない。セブン&アイの村田紀敏社長は「イトーヨーカ堂の不振を取り返すのは難しい」と発言している。「ユニクロ」など専門店や食品スーパーと比較されて「中途半端な小売業態」と言われることも多くなったGMSに、はたして未来はあるのだろうか?

 コンビニエンスストアは、全社の店舗売上高は今年8月まで30ヵ月連続増収。それから開店後12ヵ月未満の新店分を除いた既存店売上高も、消費増税の影響を受けた前年度の長いトンネルをようやく抜けて4月から5ヵ月連続のプラスになっている(日本フランチャイズチェーン協会「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」)。しかし新規出店がペースダウンしているので、以前のような新店効果は望めなくなっている。

 セブン&アイHDのコンビニエンスストア事業(国内外のセブンイレブン)の営業収益は2.7%減とマイナスだったが、営業利益は11.3%増。セブンイレブン・ジャパンの3~8月期の既存店売上高の伸び率は前年同期の2.6%を上回る3.2%で、既存店で利益を出せる体質づくりに成功している。

 ローソン<2651>は成城石井、ユナイテッド・シネマが連結対象になったことで営業総収入が前年同期比19.6%増、営業利益は5.1%増だったが、収益性の悪い店舗の減損損失の増加に伴う特別損失の計上で純利益は9.5%減だった。

 9月にココストアを完全子会社化し、10月15日に2016年9月のユニーGHDとの経営統合が本決まりになったファミリーマート<8028>は、営業総収入は13.7%増、営業利益は32.3%増だが、純利益はリストラ費用の負担が発生し36.0%減。経営統合でユニー傘下のサークルKサンクスの店舗ブランドは「ファミリーマート」に統合される。

 
 ■ファミリーマートは「台風の目」になるか?

 小売業全体の今期、2016年2月期の業績見通しは当初、消費増税による反動減からの復調が見込まれ、全体の約8割が増収増益という報道もあった。しかし、上期を終えてGMSがいまだに悪い上にコンビニも新規出店の勢いがペースダウンし、期初のような強気の見方は影をひそめている。会社発表の通期業績見通しも上方修正と下方修正が交錯している。

 総合流通グループのセブン&アイHDは、営業収益は8.8%増から1.8%増に下方修正、営業利益は4.8%増から6.9%増に上方修正。前期は減益だった当期純利益は、4.7%増から5.8%増に上方修正した。そのうちスーパーストア事業は営業収益2.4%増で業績見通しを据え置いたが、営業利益は63.4%増から6.5%増に大幅下方修正。前期の大幅減益からのV字回復はペースダウン。

 イオンの通期業績見通しは売上高13.0%増、営業利益23.8%増、当期純利益1.0%増。3期連続の営業減益、前期の2ケタ営業減益のトンネルから抜け出せる見通し。しかしGMS分野の営業赤字幅拡大は避けられそうになく、イオンもGMS事業の下期の踏ん張りが全体の業績、特に利益を左右しそうだ。

 ユニーGHDは、営業収益は1.7%増から1.5%増に、営業利益は16.1%増から3.8%増に下方修正した。当期純利益は前期の赤字から黒字化するものの、黒字額は48億円から15億円に大幅下方修正している。GMS(総合小売業)は営業収益2.1%増から2.5%増に上方修正したが、営業利益は12.1%増から2.3%減に大幅下方修正している。ユニーはファミリーマートとの統合が大きくクローズアップされているが、その陰でGMSが業績の急所になっている。

 コンビニのセブンイレブン(セブン&アイHDのコンビニエンスストア事業)は、営業収益は10.0%増の2ケタ増収から1.4%増に大幅下方修正。営業利益は7.0%増から9.1%増に上方修正している。

 ローソンは昨年10月の「成城石井」の買収効果や、野菜飲料「グリーンスムージー」など商品企画が当たって営業総収入の2ケタ増収を見込み、16.1%増から16.3%増に上方修正した。営業利益は0.7%増を見込む。前期は大幅減益を喫した当期純利益は7.7%増と回復する見通し。

 ファミリーマートは通期で営業総収入10.0%増、営業利益16.0%増の2ケタ増収増益を目指すが、当期純利益は18.2%減を見込んでいる。サークルKサンクス全店がファミリーマートに変わったら国内店舗数は約1万7600店になり、約1万8000店のセブンイレブンにほぼ肩を並べて約1万2000店のローソンを引き離し、もはや「第三勢力」ではなくなる。来期、新生ファミマはコンビニ業界の「台風の目」になるだろうか?

 コンビニは少し前の大量出店合戦から様変わりし、この下期は既存店で勝負、商品やサービスなど中身で勝負という流れが定着しそうだ。通期で減収になっても営業増益を果たせばいいが、営業減益だと厳しいだろう。(編集担当:寺尾淳)