9月28日の日経平均は大幅反落。前週末25日はヨーロッパは堅調、NYダウは113ドル高で4日ぶりに反発した。前日夜のイエレンFRB議長の講演内容が安心感を誘ったほか、4~6月GDP確報値が上方修正され、ミシガン大学消費者景況感指数は市場予測を上回った。しかしNASDAQは4日続落。ナイキは前日発表の決算内容が増収増益で上がったが、バイオ・ヘルスケア関連は民主党の大統領候補クリントン前国務長官が医薬品価格の抑制に取り組む姿勢を表明したため下落し、終盤のダウとNASDAQの足を引っ張っていた。CME先物清算値は17785円。28日朝方の為替レートは、ドル円は120円台半ば、ユーロ円は134円台後半だった。
「権利落ち日」の日経平均は69円安の17811円で始まる。TOPIXは6ポイント安。日経平均の配当落ち分は約117円とみられていたので実質上プラスで始まったが、午前9時3分に瞬間プラスの17886円をつけた後は急落し、17800円も17700円もアッと言う間に割り込み、さらに17600円も下回って9時15分に17597円まで下げた。配当落ち分を考慮した実質でも3ケタのマイナスで、日銀追加緩和期待で後場上昇した25日の上昇分の大部分が消える。その後は10時にかけて上昇し10時すぎに17800円を超える実質プラスまで戻し、TOPIXは瞬間プラスになるが一時的であっさり折り返し。上海市場がマイナスで始まって下げ幅を拡大すると10時台後半は17700円を一時割り込むが、上海が下げ渋ると17700円台を回復する。25日の後場は逆らったが、再び上がるも下がるも上海次第の「中日連動」。前引けは17700円を守れず17677円だった。
上海市場の午前の取引は一時プラスになるがマイナスで終了。後場の日経平均は20円ほど高く再開するがすぐ前引け水準を割り込む。午後1時までに17700円台を回復しても1時台前半までで、後半は17600円台に。2時に7月の景気動向指数の改定値が発表されたが、速報値から一致指数は0.2ポイント、先行指数は1.7ポイント低下して景況悪化。基調判断は「足踏みを示している」で据え置いた。2時に再開した上海市場は小幅マイナスで推移するが日経平均は下げ幅を拡大し、安値を更新しながら2時30分前後に17600円を割り、2時51分に下げ幅が300円を超える17562円まで下げた。サービスのオリエンタルランド<4661>、小売のヤマダ電機<9831>や航空、私鉄などインバウンド消費関連が10月1~7日の国慶節休暇の中国人訪日客の増加に期待して上がる一方、配当利回りが良い総合商社は権利落ちに加え、「サウジアラビアの政府系ファンドが原油安による損失を穴埋めするために数百億ドル規模の資金を世界から引き揚げる」というフィナンシャルタイムズのニュースが嫌気され、三井物産<8031>、三菱商事<8058>、丸紅<8002>が揃って年初来安値を更新した。
内憂外患の中、終盤にいきなり為替が円安に転じ、日経平均も先物主導で急伸。一つは体調を崩していたFRBのイエレン議長の健康が回復をみせたというニュース。もう一つは黒田日銀総裁が大阪市で講演し、「低金利環境は続かない」「アメリカの利上げは視野に入っている」「2016年度の国内インフレ率は2%程度」など、強気の黒田節を炸裂させたこと。カラ元気も百回言えば周囲は元気になる。その後9分間で80円以上も戻し、235円安の17645円で終えた。大幅反落だが配当落ち分を差し引くと実質ほぼ118円安。TOPIXも引き戻して終えた。上海市場は結局0.27%のプラスで終えていた。
日経平均終値は235.40円安の17645.11円、TOPIX終値は-15.14の1438.67。売買高は19億株、売買代金は2兆1870億円で最近にしては薄商い。値上がり銘柄数は843、値下がり銘柄数は937。値上がりセクターは小売、空運、サービス、倉庫、陸運、建設、不動産の7業種、26の値下がりセクターの下位はパルプ・紙、卸売、鉄鋼、証券、非鉄金属、保険などだった。
9月29日の日経平均は大幅続落。週明けのNYダウは312ドル安で反落。ドイツ検察当局がフォルクスワーゲン前CEOを詐欺容疑で捜査しヨーロッパ市場は軒並み安。中国の8月の工業利益が-8.8%と悪く、ダドリーNY連銀総裁の「年内利上げ。10月決定もありうる」発言で、NYダウは一時16000ドルを割り込んだ。NASDAQも大幅安で5日続落。シカゴ連銀のエバンス総裁は「利上げは来年半ばまでは正当化されない」と発言し、百家争鳴。中古住宅契約指数は市場予測を下回ったが個人消費支出は+0.4%、個人消費支出物価指数は+0.3%と堅調。原油先物は3日ぶりに反落し金先物も続落した。ドル安が進行しドル円は120円近辺、ユーロ円は134円台後半。CME先物清算値は17360円。
東証1部の海運5位、第一中央汽船<9132>が29日に民事再生法適用申請のニュースが流れ、東証は「真偽等の確認のため」売買停止措置をとった。石炭や鉄鉱石のばら積み船が主力で、その世界最大の需要地、中国経済の変調による運賃安に直撃された。昨年までは低位株狙いのテーマ物色で何度も業種別上昇率月間トップに立った海運セクターに、ついにとどめが刺された。
中国がからんだ要因で1部上場企業が経営破たんという衝撃を受けて日経平均は8、9月の安値17415円をあっさり割り込み285円安の17359円で始まる。去年の大納会終値よりも安い。TOPIXは20ポイントを超える下落。第一中央汽船の筆頭株主の商船三井<9104>はいきなり年初来安値を更新し、他の海運大手も軒並み安。120円近辺だったドル円が119円60銭台まで円高が進行し、序盤は9時28分にマイナス幅470円を超える17166円まで下げる。「第一中央汽船ショック」は思いのほか深刻で9時42分に17147円まで下げ、500円安まであと3円足らず。10時を回るといきなり下げ幅が500円を超え、17100円も割る。TOPIXが1400を下回ったのは2月3日以来。上海市場が1%を超える下落で始まると10時39分に17059円の安値をマークし、17000円の大台陥落も目の前。1月16日の年初来安値16592円まであと500円未満に。10時54分の17052円を底に反転し、11時台には17100円台を回復。上海はマイナスのままで17000円は心理的な節目らしく、前引けは489円安の17155円だった。
上海市場は下げ幅をひろげて午前の取引を終了。日経平均も後場、下げ幅をひろげて17074円で再開。午後0時47分、先物と同時に現物も17000円を割ってしまうが15秒で終わる。1月19日以来9ヵ月ぶりの事態。17100円台には乗せられないが17000円は割らない状況が続いたが、1時台に再び17000円割れを起こし、今度は15秒では終わらない。安値は1時17分の16973円で17000円を軸に上下動を繰り返す。
第一中央汽船の民事再生法申請を東京地裁が受理し、売買停止のまま整理銘柄に。4期連続の最終赤字から立ち直れず、10月30日に上場廃止になる。2時に上海市場はマイナスで再開。さらに為替のドル円も119円台30銭台まで円高進行が止まらず、2時台の日経平均はさらにボロボロ下げて2時8分に17601円まで下落。下げ幅は740円を超えた。第一中央汽船だけでなく、円高、上海安、日銀短観待ち、アメリカ雇用統計待ちに中国経済への不安、TPP交渉への懸念、「アベノミクス第2ステージ」への疑いなど、ほじくり出せばネガティブ材料には事欠かない。「カタール投資庁の日本株売り」という話も飛び出した。終盤の日経平均は戻しても17000円に時々タッチするだけで、714円安の16930円で終えた。1月16日以来の安値水準。採用225銘柄は全部マイナス。TOPIXは「寄り天」で63ポイントも下げた。上海総合指数は結局2.01%下落して終了。それでも日経平均の下げ幅4.05%の約半分で、皮肉にも、上海市場はこのところ東京市場よりも安定している。
日経平均終値は714.27円安の16930.84円、TOPIX終値は-63.15の1375.52。売買高は27億株、売買代金は2兆8859億円と売買は盛況。値上がり銘柄数は61、値下がり銘柄数は1815。全33業種がマイナスで、下落幅が小さい業種はゴム製品、水産・農林、小売、陸運、建設、パルプ・紙など。下落幅が大きい業種は海運、鉄鋼、医薬品、卸売、空運、情報・通信などだった。