ETFの買い入れ目標は年間3兆円だが、今年は6月と8月に日銀砲を撃ちすぎたためなのか、すでに2兆5241億円を撃ち果たして残りは4759億円しかない。1回分336億円(10月実績)としても、今後約2ヵ月間にあと14回しか撃てない計算だ。そのためなのか、8月は9回、9月は8回あったETFの買い入れが、10月は23日までに14日のたった1回しかなかった。10月にTOPIXが前引け時点でマイナスだった日は5回あったので、そのうち4回は「買い入れの残り枠が少ないので、ケチって撃つべき日に撃たなかった」ことになる。
ETFの買い入れは「中央銀行がPKO(株価維持政策)をやってもいいのか?」など批判も多いが、昨年10月に増枠までして「やります」と公言しながらケチるのは、マーケットの期待にそむき罪深い。ここは日銀のプライドにかけてもETF買入枠の3000~5000億円程度の増枠だけでも実施に踏み切るのではないだろうか? それが10月30日は本格的な追加緩和ではなく「プチ緩和」になるという説の根拠である。
本来は「プチ会合」だった10月30日に日銀が「プチ緩和」に踏み切れば、日銀砲健在にマーケットは「プチ満足」する。プチでも東京市場には推進力として効き、日経平均は2万円に接近し、夏の終わりのパラダイム・シフトは短期間で収束して「プチ」とされて終わる。ピノキオではないがプチ、プチ、プチでハッピーエンドだ。
前週はそれ以外にも、日経平均と取引時間帯が重なる上海総合指数が、まるで仲良しカップルのようにベタベタ連動して上げ下げしていた「中日連動」に変化が現れた。上海が下げても、東京はとりすました顔で株価が安定するシーンが何度も見られた。愛を失っても、おかげで鳥のように高く飛べる。中国人民銀行は23日に0.25%利下げした。4~9月期決算の発表が本格的に始まり、業績観測記事も連日にぎやかな企業業績も、「中国の景気減速の影響で下方修正が続出」かと思えばそれほど悪くないようで、株価の押し下げ要因にはなっていない。日立<6501>や花王<4452>などは逆に通期見通しを上方修正した。株価も企業業績も夏場以来の「中国過敏症」から脱却する時期が来た、と言えるのかもしれない。
それを前提に23日の日経平均終値18825.30円のテクニカル・ポジションを確認しておくと、18430円の5日移動平均、18053円の25日移動平均は下にあり、19163円の75日移動平均、19166円の200日移動平均は上にある。日足一目均衡表の「雲」は18637~19181円にあり、23日に8月20日以来の雲タッチを果たし、終値は雲の中にある。今週は雲の上限は19181円で固定し、下限は18567~18606円の位置。雲の幅は600円以上あり厚い。ボリンジャーバンドでは25日線+1σと+2σの間で、+2σに近い高い位置にある。とはいえ25日線が18053円とかなり低い位置にあるためにそうなっており、「上値限定」と速断することはできない。+3σは19237円に位置する。
オシレーター指標では「買われすぎ」シグナルが2つ点灯している。一つは128.01と目安の120をオーバーした25日騰落レシオで、もう一つは89.1と目安の70をオーバーしたストキャスティクス(9日・Fast/%D)である。もっとも25日移動平均乖離率は+4.1%で、買われすぎの目安+5%に届いていない。RSI(相対力指数)は67.6、RCI(順位相関指数)は+35.7で、買われすぎではなかった。サイコロジカルラインは7勝5敗で58.3%、ボリュームレシオは64.8だった。総じて言えば買われすぎの程度はまだ弱い。
22日に東証が発表した10月第2週(13~16日)の投資部門別株式売買動向によれば、外国人投資家は売越額267億円で2週間ぶりの売り越しで、個人投資家は売越額620億円で3週連続売り越し。一方、年金資金がバックにある信託銀行が買越額616億円で8週連続の買い越しだった。もっとも買い越しも売り越しも1000億円は超えておらず、個人投資家の売りと信託銀行の買いが釣りあっているパターン。以前は「外国人対個人」の売り買い対決型だったが、最近では信託銀行が第三勢力として台頭して、三つどもえの構造になっている。9月7~11日の1週間に1兆円も売り越したような外国人の過激な大量売りは影をひそめた。