風力発電は、資源エネルギー庁によると、日本は欧米諸国に比べると導入が遅れているものの、2000年以降導入件数は急激に増えているという。1999年には100基に満たなかったが、2011年度末で1,870基、累積設備容量は255.6万kWまで増加している。今、注目の再生可能エネルギーだ。
その風力発電関連ニュースが9月29日に相次いだ。まずは、日立キャピタル<8586>と日立製作所<6501>が西部ガス<9536>と風力発電事業を共同で実施することに合意したと発表した。この合意に基づき、日立キャピタルと日立の共同出資会社である日立ウィンドパワーと、西部ガスの子会社であるエネ・シードが、共同事業会社「エネ・シードウィンド株式会社」を9月に設立し、福岡県北九州市に風力発電所を建設する。風力発電所の運転開始は2017年3月を予定している。
建設するのは「エネ・シード北九州風力発電所」で、日立の低風速域対応2MWダウンウィンド型風力発電システム「HTW2.0-86」2基を設置する。日立キャピタルが西部ガスとの共同事業実施のためのサポートを行い、風力発電システムの設計・建設・保守は日立が担当する。
また、大阪ガス<9532>の100%子会社であるガスアンドパワーは、三井造船<7003>の100%子会社である印南(いなみ)風力発が新たに発行する株式を取得し、株式持分95%の子会社とすると発表した。印南風力発電は、和歌山県日高郡印南町において、発電容量2万6,000kW(2,000kWの風力発電設備13基)の風力発電所の建設を12月より開始し、2018年6月より運転を開始する予定である。
大阪ガスグループは、2020年代に国内外で600万kWの電源確保を目指すとともに、再生可能エネルギー事業を通じ、環境負荷の低減に取り組んでいるという。現在、ガスアンドパワーでは、既に国内で5カ所(高知県高岡郡津野町、和歌山県有田郡広川町、和歌山県日高郡由良町、山口県熊毛郡平生町、佐賀県唐津市)で風力発電所を運営している。
そして、鹿島建設<1812>は、洋上風力発電設備の海上作業構台「Kプラットフォーム コンボ」を開発しているか、今回、着床式洋上風力発電設備で想定される、モノパイル、トリポッドの2つの基礎形式について、Kプラットフォーム コンボを用いた施工条件と施工手順、コスト、工期などを検証し、新たな洋上風力発電設備に用いる基礎の施工法として確立したと発表した。
モノパイル形式の基礎とは、1本の大口径杭を支持地盤に打ち込み、風車を支える形式の基礎。砂、シルト、粘土層など、やや堅牢な地盤に適用が可能である。トリポッド形式の基礎とは、3本の杭で支持力を分散し、風車を支える形式の基礎。軟弱な地盤から硬質な地盤まで適用範囲が広いことが特徴で、3本の杭で風車を支えるため、モノパイル形式よりも杭を細く、短くすることができる。
Kプラットフォーム コンボは、洋上風力発電設備の基礎の施工のみならず、風車組立にも適用できるため、洋上風力事業の建設段階から最終的な撤去作業まで、トータルでサポートすることができる。また、作業目的に応じたアタッチメントを搭載した複数のKプラットフォーム コンボを組み合わせることで、より効率的な施工も可能となる。
鹿島はKプラットフォーム コンボを用いた洋上風力発電設備の建設、メンテナンス、解体までを見据えた各種施工法の検討を進め、洋上風力発電設備のライフサイクルをトータルで支援する技術を整備、確立していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)