【今週の振返り】指標、イベントてんこ盛りで257円上昇した週

2015年10月31日 20:36

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大幅上昇の週と思いきや、26日はヘタれ、27日は米・中間で地政学的リスク勃発。FOMCも日銀会合も、金融政策現状維持。それでも補正予算で19000円台に乗せ終了。

 10月最後の売買日、日銀会合の結果が発表される運命の日の日経平均は11円安の18924円で始まる。TOPIXはわずかなプラスでスタート。両指数とも序盤は乱高下。日経平均は午前9時14分に18900円を割って18882円まで下げた後、プラスに浮上して9時22分に18987円と19000円に急接近したかと思えば、再びマイナスに。10時台もプラスに再浮上しながら持ちこたえられずマイナス。TOPIXも同様にプラスとマイナスの間をせわしなく往復した。日銀の重大発表を前に「緩和する」と「緩和しない」の間で、思い千々に乱れる乙女のごとく揺れ動く。為替のドル円は121円を割り込み円高方向。中国が29日、「5中全会」で36年続いた人口抑制策「一人っ子政策」の完全廃止と「二人っ子政策」実施を決定した。良い影響が出ると思われるユニ・チャーム<8113>、花王<4452>、ピジョン<7956>はみな大幅上昇していた。

 人口政策は材料にならず上海市場はマイナスで開始する。日経平均はマイナス圏で下げ幅を拡大し、この日もお付き合い。10時45分に18900円を再び割り込む。18870円付近まで下げた後に11時すぎに18930円付近まで上昇してプラスに浮上するかと思えば、また急落して11時29分に18870円の安値を更新など乱高下がおさまらない。上海は低迷したまま。前引け寸前に上げて前引けは28円安の18907円。TOPIXもマイナスだった。

 上海は午前の取引をわずかなプラスで終えたが、もっと大きなニュースあり。午後0時22分という早い時間に日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、金融政策現状維持。ETF買い入れ枠の拡大のようなプチ緩和もなかった。1年前のような心が震える贈り物は届かなかった。〃反逆のカリスマ〃木内登英審議委員がただ1人、国債買い入れ枠の80兆円から45兆円への縮小を主張して反対。だが直後、まるで示し合わせたかのように「3兆円超の補正予算の編成を調整中」という日経の観測記事の速報が飛び出した。財源は国債を新規発行したりしないという。

 それには幻惑されず、マーケットはお約束通りに為替は円高、株価は急落。日経平均は後場、下げ幅を拡大して安値を取りながら再開し、0時40分に18800円も割り込んで18784円まで下落する。ところが、為替が円安に反転すると日経平均も急伸を見せプラスに浮上し、さらに19000円台も一時回復して0時55分に19026円まで上がる。その間、わずか15分間で242円上昇。アルゴリズム取引がプログラム通りに売りを出した後、補正予算の政策要因で買い戻しか? とはいえ上値追いは19000円付近が精いっぱいで押し戻され、18900円台の前日比小幅プラス圏でいったん落ち着く。補正予算案の中身は「一億総活躍社会」の実現に向けた介護施設の整備やTPP国内対策が柱で、災害復旧や大都市圏のインフラ整備も費用を積み増すという。1時台に入ると再び19000円を超え、あれよあれよと75日移動平均の19095円も、日足一目均衡表の雲の上限19181円も超えて1時34分に19202円まで上昇する。日銀会合で追加緩和がなかったのに全面高に変わって「雲」を抜けたのは、マーケットが政府の補正予算をどれだけ待望していたかを物語る。不動産や建設のセクターは全面高で、やはり政策期待は強し。その後は雲の中に戻って19100円台半ばで停滞する。

 日本自動車工業会が発表した9月の自動車輸出台数は前年同月比2.2%増で2カ月ぶりのプラス。自動車生産台数は前年同月比2.6%減で15カ月連続のマイナス。国土交通省が発表した9月の住宅着工戸数は前年同月比2.6%増で7カ月連続のプラスだったが、市場予測は下回った。上半期(4~9月)は6.9%増で、消費増税の年をはさんで2年ぶりに増加した。日銀が発表した「展望レポート」では物価上昇率(CPI)見通しを2015年度+0.1%、2016年度+1.4%に下方修正していた。

 2時に上海市場は上げ幅を拡大して再開し小幅プラスを維持するが、日経平均のほうは19100円台で徐々に水準を下げていく。「日銀プレー」に政策の「贈り物」が追加されて後場寄りから派手に動いたが、やはり「利益確定売りの金曜日」。月末日だが、月初から1700円を超える上昇なのでドレッシング買いは来ない。上海がマイナスにタッチした終盤は19100円もたびたび割り込むようになるが、大きく下げることはない。そのまま大引けになり147円高の19083円で3日続伸。8月28日以来約2ヵ月ぶりに終値を19000円台に乗せたが、75日移動平均線をクリアできず「雲」の上にも出られなかった。TOPIXは一時1570に迫ったが大引けでは1560を割り込んだ。日本の政策要因に仲を裂かれた上海総合指数は0.14%のマイナスで終了。

 日経平均終値は147.39円高の19083.10円、TOPIXは+11.09の1558.20。売買高は26億株、売買代金は3兆1519億円で連日の3兆円超えの大商い。値上がり銘柄数は1057、値下がり銘柄数は724。29のセクターがプラスで、上位の業種は空運、医薬品、精密機器、金属製品、サービス、陸運など。マイナスのセクターはその他製品、ガラス・土石、証券、機械の4業種だった。

 今週の星取は4勝1敗。前週末23日の終値18825.30円から257.80円上昇し、日米の重要な経済指標やイベントがてんこ盛りで大忙しだった今週の取引を終えた。前週と合わせると791.3円高で、2万円回復を目指す軌道に乗っている。

 10月の取引も終了し、9月30日の終値17388.15円から1694.95円も上昇した。8月、9月と4ケタ安が続いた後、3ヵ月ぶりにプラスになった10月は4ケタ高。「10月の魔物」は、今年は1ヵ月以上早く来ていた。(編集担当:寺尾淳)