【今週の振返り】指標、イベントてんこ盛りで257円上昇した週

2015年10月31日 20:36

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大幅上昇の週と思いきや、26日はヘタれ、27日は米・中間で地政学的リスク勃発。FOMCも日銀会合も、金融政策現状維持。それでも補正予算で19000円台に乗せ終了。

 26日の日経平均は続伸。前週末23日のNYダウは157ドル高と続伸。中国人民銀行が金利の原則自由化、8月以来の政策金利の0.25%利下げを発表し、「ドラギマジック&中国利下げ」のダブル緩和によるリスクオンでヨーロッパ市場は軒並み大幅高。NASDAQは珍しく3ケタ高で一気に2ヵ月ぶりに5000の大台を回復した。22日の取引終了後に発表されたマイクロソフト、アマゾンドットコム、グーグル改めアルファベットの決算は揃って増益、EPS(1株当たり利益)が市場予測を上回る好決算でNASDAQを急騰させた。特にアマゾンは赤字予想だったのでポジティブサプライズ。CME先物清算値は19140円と19000円台に乗せた。為替レートはドル高、ユーロ安が進行し、26日朝方はドル円は9月25日以来の121円台の前半、ユーロ円は133円台半ばだった。

 テレビ東京、日本経済新聞社が調査した安倍内閣支持率は支持41%、不支持42%で、今後、景気が良くなると思わない58%、消費税の軽減税率が必要74%という結果だった。国民の景気見通しは決して良くない。それでも世界的リスクオンで日経平均は210円高の19036円とザラ場で8月31日以来の19000円台を回復して始まる。TOPIXは2ケタ高スタート。序盤は利益確定売りで9時2分に19001円まで下げるが、大台は維持。9時9分に19088円まで上がるが19100円には届かない。前場はその水準を保ったままだんだん振幅が小さくなる。上海市場は利下げを受け1%を超えるプラス水準で始まり、変動しながらマイナスに落ちることはなく18050円前後の水準で推移する。前引けは227円高の19052円で、TOPIXはほぼ始値水準。前場の日経平均の値幅は87円と小さかった。

 北京で中国共産党の「5中全会」が始まったが、上海市場はプラスでも+1%まで届かず午前の取引を終える。後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開し、少し上げた後、ズルズル下げて午後1時18分に19000円の大台を割ってしまう。欧米市場がリスクオンして為替が円安に振れても、前週末に先取りした過熱感なのか、FOMC、日銀会合前の様子見なのか、東芝、傾いたマンションなどスキャンダルが続き日本株ひいては日本経済への「不信感」が上値を抑えているのか。19000円を割り込んだ後も1時台はズルズル下げていき、1時49分に131円高の18956円でようやく下げ止まる。自動車各社が9月の生産台数を発表し、トヨタ<7203>は国内+1.0%、海外+2.0%、日産<7201>は国内+2.1%、海外+0.6%。日経平均は反発して19000円に再接近するがタッチはできないうちに2時になり、上海市場がプラスを維持して取引再開。19000円手前の足踏みはなおも続き、18980~18990円で動きがぱったり止まる。2時台は18900円台後半で小動きしたが、終盤に上海の急落に同期して18950円も割り込み、忘れたはずの「中日連動」まで復活した。それもそのはずファナック<6954>が足を引っ張っていた。今週のFOMC、日銀会合、経済指標への「漠然とした不安」にさいなまれ安値の更新、更新、また更新。2時58分に18937円まで下げる。終値は121円高の18947円でTOPIXとともに続伸したが、どちらも安値引けにならなかっただけマシで後味の悪さが残った。日中値幅は151円。上海総合指数は終盤マイナスまで落ちたが+0.5%で終えていた。

 23日に東証マザーズに新規上場し初値がつかずに週明けに持ち越されたGMOメディア<6180>に9時25分、公開価格2740円の2.01倍の5510円の初値がついた。なぜか23日取引終了時の買い気配値6310円より800円も安いが、白星は白星。

 日経平均終値は121.82円高の18947.12円、TOPIX終値は+11.15の1558.99。売買高は18億株と少なく、売買代金は2兆1253億円。値上がり銘柄数は1252、値下がり銘柄数は519。28業種が上昇し上位は空運、電気機器、医薬品、機械、その他製品、保険など。下落したセクターは海運、鉱業、食料品、不動産、パルプ・紙の5業種だった。

 27日の日経平均は3日ぶりに反落。週明けのNYダウはプラスで始まったものの日中はずっと小幅マイナスで23ドル安。NASDAQは小幅プラス、S&P500は小幅マイナスだった。FOMC待ちの様子見に加え、新築住宅販売件数が-11.5%で10ヵ月ぶりの低水準に、原油先物価格が下落して2ヵ月ぶりの低水準に沈んだことも足を引っ張った。原油安が石油産業の中心地テキサス州を直撃し10月のダラス連銀製造業景況感指数は9月の-9.5よりもさらに悪く-12.7。退屈しかないアナリーンの町には本物の風も不況の風も吹き荒れるのか? それでも全米規模では消費は旺盛でフェデックスは年末商戦の荷動きは過去最高と予測。長期金利は低下、金先物は上昇。為替のドル円は121円近辺で前日よりもやや円高。ユーロ円は133円台後半。CME先物清算値は18980円だった。

 前日大引け後に日本郵政<6178>の公開価格が決定し、公募仮条件の上限の1400円。これで11月4日上場の郵政3社の公開価格が出揃い、合計の上場時時価総額は13兆567億円。それでもNTT<9432>上場時の18兆6732億円には及ばない。政府が売出しで得る資金は東京五輪でも年金財政でもなく、東日本大震災の復興財源にあてられる。

 地銀再編のニュース。栃木県地盤の足利HD<7167>と茨城県地盤の常陽銀行<8333>が経営統合に向けて「調整」と報じられた。実現すれば来年4月発足のコンコルディアFG(横浜銀行<8332>と東日本銀行<8536>の統合)、ふくおかFG<8354>に次ぐ地銀第3位の規模になる。

 取引開始前に日銀が9月の企業向けサービス価格指数を発表し、8月から0.2ポイント低下し+0.6%で市場予測と同じだった。日経平均は14円高の18961円で始まり直後に18964円の高値をつけるが、アッと言う間にマイナスに落ちる。TOPIXはマイナスで始まって瞬間プラスになっただけ。日経平均は9時14分に18900円を割り込んで18889円の安値をつけるが、そこからV字回復。しかし18940円を超えてもプラス浮上はできず、振幅がだんだん小さくなり18900円そこそこの水準に収れんされていく。「底は堅いが上値も重い」という10月に入ってよく見かけるパターン。10時台も18940円近くまで上昇しては頭を抑えられた。

 上海市場はマイナスで始まって下げ幅は1%超え。日経平均も「中日連動」して一時18900円割れし、前週のことは元の木阿弥。11時を回ると日経平均は下落しはじめ、18900円も18850円も割り込んで真っ逆さま。為替のドル円の円高も進行して、SQ週でもないのに久々に見た先物主導で仕掛けるゲリラ急落。上海も急落し下げ幅は2%を超えた。中国の9月の工業部門企業利益は0.1%減で、8月の8.8%減よりはるかにマシだったが、そうではなく、アメリカ海軍のイージス艦が南シナ海・南沙諸島に中国が築いた人工島周辺の〃領海12海里〃内に入ったという、中国がらみの地政学的リスクのニュースのせい。幸い、軍事衝突は起きていない。日経平均は11時29分に18815円まで下げたが「前場安値引け」は回避し、前引けは126円安の18820円。TOPIXは1550を割り込んだ。