【今週の振返り】546円下げて400円戻しても146円下落の週

2015年10月17日 20:33

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203円安、343円安で18000円割れし、205円高、194円高で18000円乗せ。大きな上げ下げを毎日繰り返されると、秋の夜長のような静けさが恋しくなる

 13日の日経平均は大幅反落。前週末9日のNYダウは33ドル高で6日続伸。前日のアルコアの決算は減収減益、新規失業保険申請件数は1.3万件減で市場予測より好転と材料は強弱まちまちだったが、週末でもあり7~9月期決算の本格化を前に手控えムードだった。9日に発表されたノーベル平和賞はチュニジアの民主化に関わった4団体が受賞。12日に発表されたノーベル経済学賞は英国生まれのプリンストン大学教授、アンガス・ディートン氏が受賞した。消費、貧困、福祉に関わる公共経済学が専門で、イエレンFRB議長とウマが合いそう。これで今年のノーベル賞発表ウィークは終了。6部門中2部門で日本人が受賞し「今年は裏年」視された根拠の「2年ごとのジンクス」はくつがえされた。

 週明け12日のNYダウは債券、為替市場が休場する「コロンブス・デー」の祝日で薄商いの中、一時はマイナスになったが47ドル高で終えた。雇用統計発表の2日から昨年12月以来の7日続伸。NASDAQ、S&P500も小幅高で4日続伸。ヨーロッパはフランクフルト市場が「VWショック」からのリカバリーで7日続伸したが、英仏は下落した。ペルーのリマで開かれたG20では各国からアメリカの利上げ期待が出て、アトランタ連銀のロックハート総裁は「利上げは12月」という見方を示したが、期待インフレ率は低下して年内利上げ観測は後退。中国が週末に新しい景気刺激策を打ち出し、デルがストレージ大手のEMCを670億ドル(約8兆円)で買収すると発表して7~9月期決算発表シーズン前の景気づけ。実現すればIT業界過去最大のM&Aで、デルはクラウド部門を強化して先行するアマゾンを追撃できる。EMCは9日続伸。人員削減策の発表が伝わったツイッターは大幅安。原油先物は下落、金先物は上昇。為替のドル円はドルが売られて120円近辺、ユーロ円は136円台前半。CME先物清算値は18355円だった。

 政府が2017年度に法人実効税率を20%台に引き下げる調整に入ったという11日付の日経新聞の記事があったが、全く買い材料にならず利益確定売りに押され、三連休明けの日経平均は103円安の18335円で始まる。TOPIXもマイナス。ファーストリテイリング<9983>は下げ止まらず、日経平均は午前9時14分に18359円まで上昇するのがせいぜい。建設関連株の健闘だけが目立つ。それでも9時台はほぼ18300円台を保っていたが、10時台は18300円割れ。中国の9月の貿易統計が発表され、輸入は前年同月比20.4%減、輸出は3.7%減と不振。中国の景気減速が意識されて日経平均は下落幅をひろげ、上海市場は反落で始まった。それでも上海が下げ幅を縮めると日経平均も持ち直し、11時すぎには18300円台半ばまで上昇するものの一時的。そこから下げ幅をどんどん拡大して前引けは172円安の18266円だった。

 昼休み中に上海は一時マイナス幅を拡大するが持ち直し、後場は前引けよりも若干高い水準で再開し18300円にもタッチ。しかし上値は重く18200円台半ばで推移。午後1時32分に18223円の安値をつけるが、上海が小幅安で時々プラスに浮上するため大きな落ち込みは起こさない。今週も東京市場は上海の顔色をうかがう展開。2時に9月の消費動向調査の結果が発表され、消費者態度指数は1.1ポイント減で2ヵ月ぶりに低下した。日経平均は動きが乏しいままに大引けまで引っ張り、203円安の18234円で終えた。TOPIXは底堅く1500を1時9分に瞬間割り込んだだけで、終値も1500台をキープしていた。上海総合指数は結局0.17%の上昇で小幅ながら5日続伸した。

 日経平均終値は203.93円安の18234.74円、TOPIX終値は-12.00の1503.13。売買高は21億株、売買代金は2兆4044億円。値上がり銘柄数は845、値下がり銘柄数は933。11業種がプラスで上位は空運、水産・農林、その他製品、陸運、パルプ・紙、医薬品など。22業種がマイナスで下位は鉱業、銀行、保険、不動産、輸送用機器、ゴム製品などだった。

 14日の日経平均は大幅続落。NYダウは8日ぶりに反落して49ドル安。中国の貿易統計の弱さ、特に輸入の減少が景気減速を印象づけ、さらにVWショックに見舞われたドイツのZEW景況感指数が+1.9で市場予測の+6.5よりかなり悪く、ヨーロッパ市場は軒並み安。NYダウは午前中は一時プラスだったが午後は持ち直せなかった。タカ派のセントルイス連銀のブラード総裁が早期利上げを支持。それでも17000ドル台は維持し、NASDAQ、S&P500も5日ぶりに反落してもS&P500は2000台に踏みとどまった。ビール業界でアンハイザー・ブッシュ・インベブによるSABミラーの買収が買収額を積み上げて合意に達した。世界シェアは3割に達し食品業界で過去最大のM&A。ジョンソン・エンド・ジョンソンの決算はドル高の影響で減収減益だった。原油先物は下落、金先物は3日続伸。ドル円はドル安円高がさらに進行して119円台後半、ユーロ円は136円台前半。CME先物清算値は18095円だった。

 財務省は消費税の軽減税率分をマイナンバーカードで還付する案を断念と報じられた。ややこしいと評判が悪かった。取引開始前に日銀から経済指標の発表。9月の企業物価指数は102.2で前月比で0.5%、前年同月比で3.9%下落して市場予測と同じだった。9月のマネーストックはM3は+3.1%、M2は+3.8%で、M3は7ヵ月連続で3%台の伸びだった。日経平均は128円安の18106円で始まり10月の「まぼろしのSQ」18137円を割り込む。TOPIXは1500割れで2ケタポイント安でスタート。序盤から下げ一方で18000円台を守りきれず、午前9時台のうちに17900円も割り込む。悪いことは重なるもので、前日大引け後発表の9月の工作機械受注は27ヵ月ぶりの2ケタ減で機械セクターなど設備投資関連銘柄に悪影響。インテルの決算もパソコン向けが不調で減収減益になり、設備投資計画を減額修正して半導体製造装置など関連銘柄に悪影響。しかしファーストリテイリングは下げ止まって反発した。中国で10時30分に9月消費者物価指数(CPI)が発表され、+1.6%で市場予測の+1.8%を下回った。生産者物価指数(PPI)は-5.9%で市場予測と同じで、やはり経済指標はふるわない。上海市場はマイナスで始まり、一時プラスになっても再びマイナスに落ち序盤は乱高下。日経平均は10時18分に17853円まで下げるが、10時30分以後は17900円台前後の水準を保つ。しかし11時台には再び大きく下落し前引けは363円安の17871円だった。