放送倫理検証委 放送巡る自民調査会言動を非難

2015年11月08日 11:51

 放送倫理番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は7日までに、自民党情報通信戦略調査会がNHKの経営幹部を呼び、『クローズアップ現代』の 番組について非公開の場で説明させたことについて「放送法は、放送 番組編成の自由を明確にし『放送番組は法律に定める権限に基づく場合でなければ何人からも干渉され、又は規律されることがない。』(第3条)と定めており、『法律に定める権限』が自民党にないことは自明だ」として「自民党が放送局を呼び説明を求める根拠として放送法の規定をあげていることは法の解釈を誤ったものと言うほかない」と自民党の行為を非難した。

 放送倫理検証委員会は「今回の事態は放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのもの」と断じた。そのうえで「厳しく非難されるべき」行為だとした。

 放送倫理委員会は「当委員会はこの機会に、政府およびその関係者に対し、放送の自由と自律を守りつつ放送番組の適正を図るために、『番組内容に関しては国や政治家が干渉するのではなく、放送事業者の自己規律やBPOを通じた自主的な検証に委ねる本来の姿に立ち戻るよう強く求める』ものである」と具体的な番組への関与を強くけん制し、その行為を非難した。

 検証委員会は報告の中で「6月には自民党に所属する国会議員らの会合で、マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番、自分の経験からマスコミにはスポンサーにならないことが一番こたえることが分かった、などという趣旨の発言が相次いだ。メディアをコントロールしようという意図を公然と述べる議員が多数いることも、放送が経済的圧力に容易に屈すると思われていることも衝撃であった」とし「今回の『クロ現』を対象に行われた総務大臣の厳重注意や自民党情報通信戦略調査会による事情聴取もまた、このような時代の雰囲気のなかで放送の自律性を考えるきっかけとするべき出来事だったと言えよう」と警鐘を鳴らしている。(編集担当:森高龍二)